第6話 この世界

次の日曜日


「大樹くん、おーきろ」

パピに起こされた。

「どうしたの?パピ。今日、日曜日だよ・・・」

「だから、遊びに行くの」

「遊びに?」


パピの世界には、来月に行く事になった。

何かわからんが、準備があるようだ。


「パピ、その格好で?」

「うん、おばさんにみてもらったんだけど、おかしい?」

おかしくはない。

むしろ、魅力的だ。


ただ・・・


「頭の触覚は、どうするの?」

「これ?気にしないよ。こんな、アニメキャラいるんでしょ?」

コスプレじゃないんだから・・・

それに、かなり前・・・


「じゃあ、帽子を貸してあげるよ」

「でも、髪が乱れる・・・」

「ニット帽子だよ」

これなら影響はないと思う・・・


多分・・・


こうして、パピを案内することになった。

でも、単なる散歩だ。


この世界の、めぼしい所を案内して回った。


パピは最初の頃は、興奮していたが、だんだんと不機嫌になる。

まあ、想定内だ・・・


「がっかりしたろ・・・パピ」

「何が?」

「緑が無くて・・・」

パピは、頷いた・・・


「やはり、わかってくれてたんだね。優しいね」

「いいよ。僕も、思っていたから・・・」

人間は便利を求める。

便利になるために、自然を破壊した。


それが、自らの首をしめる事になった・・・


「パピ、大丈夫?」

「何が?」

「具合、悪そうだけど、帰ろうか?」

「ううん、平気。でも・・・」

「でも?」

「これが、この世界なんだね」

パピは、かなりがっかりしているようだ。


「パピ、じゃあ行ってみる?」

「どこへ?」


「この世界の、緑豊かな場所へ」






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