第3世界 予知夢
飛行機が飛んでいる。
と思った。
そんな音。
空を見上げた。
灰色。今にも雨が降り出しそうな。
まだ午後3時だというのにやけに薄暗い。飛行機は見えなかった。
音だけがやたらと大きく聞こえる。
なんだか、ヤだな……
あの雲を突き破って、今にも飛行機が飛びだしてくるんじゃないか。
そして、どんどん高度を下げて、墜落……
そんな映像をずっと前にテレビで見たような気がする。
家に帰ってテレビをつけると、ニュースで言っている。
飛行機の墜落事故。
すごい偶然だ。
数日後。
住宅街を歩いていた。たいして広い道路ではない。車もそれほど通らない道だ。
すぐ脇を、猛スピードのトラック。思わず立ちすくむほどの速さ。
危ないな!
あんなにスピードを出してたら、そのうちどこかへ突っ込んでひどいことになる。
たとえばガソリンスタンドとかに突っ込んだらどうなる?
爆発炎上してものすごい被害だ。
恐ろしい。
そして、その夜のニュースを見て、驚いた。
スピードを出しすぎたトラックが、ガソリンスタンドへ突っ込んで爆発炎上したという。
またしても、すごい偶然。
けれども、その後も似たようなことが続いた。
これは偶然じゃない。
そう思ったのは、6度目のときだ。
考えた。
これはどういうことか?
もしかして、予知している?
事故が起こる前に、感じている?
そうとしか考えられなかった。
予知能力。
すごい。
だって、6回もあったんだから間違いない。
超能力者だ!
ただ、誰にも言わなかった。
言っても信じてもらえるはずがない。頭がおかしいと思われるのは心外だ。なにしろたいていの人は変わっていることを嫌う。
個性個性と言いながら、結局は同調を求めるのが世間だ。
打ち明けるとしたら、本当にわかってくれる人だけにしなければ。だけど、今はそういう人はいない。
まだ身を潜めていよう。
いつか本当に心を許せる人が現れたとき、こんな話をしたら驚かれるだろうな。そんなことを考えるのは楽しかった。
誰にも知られていないはずなのに、なぜか周囲の人たちの様子がおかしい。
避けられている。
仲が良かったはずの友達も離れていってしまった。家族さえもどこかよそよそしい。
どうして?
私には超能力があるのに。私のことを誰も知らないくせに。理解者はいない。仲間はいない。私はひとり。こんなにすごいのに、私はひとり。
悲しい。
悔しい。
寂しい。
どうして?
どうして?
どうして?
みんな、消えろ。
なにもかも消えてしまえ!
だからもう何もない。
わたしの地球滅亡 まりる*まりら @maliru_malira
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