紹介文に書かれている通り、この「詩」と名乗るプルトニウムの塊は、危険な詩的実験体であります。
私はお定まりに上から読む事にしました。ボンヤリと情景が浮かび掛けて、しかし次に現れる別の単語等々が、無造作にそれを掻き消してしまう。じゃあ下から読もうと反骨心を滾らせたところ、何故か「走り回っていた単語」が整列するような錯覚に陥りました。
上から下へ、下から上へ……行ったり来たりの反復運動の末に、私は生温かい違和感の風を感じました。
風はまさしく、画面に映る単語の山林から吹いていました。この「詩」は読者までもを、空の試験管に放り込んで硫酸を注いでしまう、自動的な「実験」であります。
一つの手順でも間違えれば、即座に臨界、即座に死をもたらす、この「し」。
強い探究心は自殺志願者の常です。私はまたしても、作者様の用意した試験管に足を掛けているのです。
ある意味、超実験は成功したのでしょう。いつの間にか実験体となっていた私は、試験管の中からロートレアモン伯爵の笑みを、作者様に重ねる事が出来たのですから。