第5話

緑子 …お話をしていたら喉が渇きましたね、…紅茶でもどうです?


真白 え…!?いいんですか…?


緑子 い、嫌ならいいんですけ⋯


真白 いえ、嬉しいです!


緑子 …そ、そうですか。じゃあそこで待っていてくだ⋯


美黄 やっほー!


緑子 …まさか。


橙香 ごきげんよう?


緑子 …はぁ。どうぞ。


青葉 あらら、二人とも!


美黄 あ、みんな!


黒斗 あ、そうだ。…誰だかわかる?


黒斗、真白を示す。


橙黄 …真白!


青葉 そう、真白ちゃんもいるのよ~。


真白 こ、こんにちは。


美黄 本物?本物?


橙香 落ち着きなさい。


美黄 だって真白がいるんだもん!


橙香 あなたね、真白がここに居るということは…。


美黄 わかってるよ。


美黄 真白、こんにちは。あたしたちのこと覚えてる?


真白 いえ…。


美黄 そっか。あたしは美黄だよ。こっちの暗そうなのが橙香!


橙香 …どうも、 暗 そ う な 橙香よ。


真白 あ、えっと…、別に…。


黒斗 いつもこんな感じなんだ、気にしないで。


真白 は、はい。


赤音 いつのまにかみんな揃っているな。


青葉 あらあら、わんだほー!


安紫 わんだほー!


真白 これで全員なんですか?


黒斗 まあ、一応ね。


安紫 真白ちゃんも来たしね!


赤音 いやー緑子んちは落ち着くなー。


緑子 はあ⋯うちは児童館ではないんですけどねぇ?


藍衣 似たようなものでしょ。


緑子 何ですってぇ?


青葉 まーまー。落ち着いて。


緑子 まずあなた方が落ち着いてくださいません?


緑子 はあ…騒がしいとは思いますけど、どうせ来たのならちゃんとくつろいでください。


藍衣 なんでそんな命令口調なのよ。


緑子 主だからですぅ。


赤音 そんな騒がしいか?


青葉 賑やかではあるわね~。


真白 …何だか、落ち着きます。


青葉 あら、そう?


真白 不思議です。


赤音 落ち着けるのなら、よかったな。


安紫 早く思い出せるといいね。


橙香 思い出す?


藍衣 記憶が混乱しているみたいなの。家族のことさえ覚えていなくて。


緑子 本当ですか?


黒斗 本当だよ。


赤音 唯一覚えていることは、絵を描くのが好きってこと。


橙香 そうなのね…。


美黄 まあ、焦ることはないさ。楽しいことを考えよう?


真白 楽しいこと?


安紫 例えば…あ、絵!絵のこと…うーん。絵のことって言ってもなあ…。


藍衣 自分で言っておいて、その先は何も思いつかないのね…。


真白 絵…。


美黄 絵といえば⋯緑子の家には絵がたくさん飾ってあるよね。


赤音 緑子って、絵が好きだったか?


緑子 別に。置きたいから置いてるだけですよ。…ちょっと真白。あまりじろじろ観察しないでくれます?


真白 この絵たち、広場にあったやつとは違うけれど…どこか似ている。


緑子 …。


藍衣 そういえばそうね。誰が描いたのかしら。


美黄 気にしたことなかったなー。綺麗だよね、カラフルで!


青葉 …私も、大好きよ。描いた人はどんな色も愛しているはずだわ。鮮やかな色も鈍い色も。一つ一つ輝ける場所を見つけてあげているもの。きっと、絵が大好きだったのね。


緑子 あなたも、お絵描きが大好きでしたね。


真白 …もしかして。


緑子 ええ。


橙香 …ねえ、あれって。


真白 間違いない。昔、私が描いた…。


美黄 真白が描いたの!?すごいね!


安紫 一つ思い出せたじゃん、やったね!


藍衣 でもどうして真白の絵をあなたが?


緑子 さあ?どうしてでしょうねぇ?


黒斗 ⋯そうだ。絵を描けば、また何か思い出せるかも。


橙香 なるほど⋯、いい考えね。


安紫 じゃあ、どうせだしみんなで描こうよ、そっちの方が楽しそう!


緑子 私もですかぁ?


青葉 当然よ~。


赤音 ま、悪くないな。


橙香 …私は賛成。


美黄 あたしも!


藍衣 賛成。


青葉 …私も!


緑子 まぁ、別に描いてやってもいいです。


黒斗 真白は、どうかな?一緒に絵を描こうよ。


真白 …はい、描いてみます。

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