第10話 Interlude
人は死ぬときに、走馬燈を見るって聞いたことがある。
耳にしたのは爺ちゃんが死んだときだった。
俺はそのとき走馬燈というものを知らなかったので、その後ネットで調べてみたのだ。
『走馬燈――影絵を中にしかけた灯篭』
言葉だとイメージしづらかったので、動画を見てみると、単純な構造をすぐに理解することができた。
内側に光源と絵を仕込んで、くるくると回す装置なのだ。それを回すと、その周囲に設置された囲いに影絵が映る。それがまるで動いているように見えるという仕組みだ。
イメージとしてはあれだな。床屋の前の赤と青のぐるぐるがずーっと回ってるやつ。あれの影絵だと思ってくれればいい。
現れて、消える。
消えて、現れる。
その繰り返しを行うのが走馬燈。
人間の感覚というのは、不思議というか、いい加減というか、実際は同じ位置にもどってきているだけの絵なのに、それが動いているように見えるのだ。
なにも変わっていないというのに、変化しているように見えるのだ。
円柱がその場で回っているだけだというのに。
まるで前進しているように、思い込む――。
つまり『走馬燈』というのは、『死ぬ間際に色々なことを思い出す現象』のことではなく、『走馬燈のように、記憶がよみがえっていく』という比喩表現らしい。
だからなんだ、と言われても、まあ、俺にもよくわからん。
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