98話〜過去から現在へとそして真実へと
ここはスカイネーブル城のレマイスの書斎。あれからレオルドはレマイスの所に来ていた。
「レマイス様、お話が……。」
「レオルド。セレネアはどうしたのだ?」
「それなのですが……。」
レオルドはレマイスに洞窟であった事と自分はその場から逃げて戻ってきた事を話した。
「レオルド。お前は仲間を見捨て逃げ戻ったというのか……。」
レマイスはレオルドの側にきた。
「……はい。しかしあの状況では。」
レマイスはレオルドの肩に触れ、懐に魔法のメッセージカードを忍ばせた。
(レマイス様。これは……。)
レオルドは気づかれないように懐に手を添え読み取った。
「そうか。だがお前を、このまま見過ごす訳には行かない。」
レマイスは手を軽く挙げると隠れていた兵士や賢者が姿を現した。
「レマイス様。これは……そういう事なのですね。」
レオルドはカードのメッセージを読み取り、レマイスが今やろうとしている意図が分かり、レオルドは表情を一変させ身構えた。
「レオルドを捕らえろ!?」
レマイスがそう言うと兵士や賢者達はレオルドにジリジリと近寄って来た。
レオルドはそれを見ると、
「フッ、これは致し方ありませんね……。」
レオルドは周りの者達に気づかれない程度に、レマイスに軽く首を下げると、
(レマイス様。申し訳ありません……。)
そう思いながら、指をパチンと鳴らしレオルドはその場から姿を消した。
それを見たレマイスは兵士や賢者達にレオルドを追うように伝えた。
(レオルド……どうか逃げ延びて欲しい。お前にはやるべき事がある。そして、このスカイネーブルの異変とネリウス様の企みを……。)
レマイスはその後大聖堂に向かい祈りを捧げたのだった。
……そして、その後レオルドは、しばらくの間素性を隠し変装し隠れて色々な研究などをしていたのだった。
……そして、時は戻り……
レオルドは過去の事を思い出し語った後、辺りを見渡した。
それを聞きガルドは不思議に思い、
「レオルド、聞きたい事がある。もしそれが事実だとしてだ。何でブラットの命を狙った?」
「私は命を狙ったつもりはありません。私の本来の目的はシェイナルズの魔法研究施設で、その力を解明し出来る事ならば、スカイネーブルに起こっている異変をどうにかしたかっただけなのです。」
「なるほどな。だが、それも今となっては、叶わなくなったという訳か……。」
ガルドがそう言うとレオルドはブラットを見て、
「ブラット……いや本来なら、私はお前を様付けで呼ばねばならないのだろうが。すまないが慣れるまでは無理だろうな……。」
「別に俺は構わないけど。返って様つけられても何か変な気がするしな。ははは……。」
ハングが不思議そうに、
「レオルド。何でヴィオレを刺し道具屋の店長を殺したんだ?」
「ハング。道具屋の店長を殺したのはエリーゼの方です。私は道具屋の店長と口論となり話にならないと諦め帰ろうとしたのですが。エリーゼは口封じとして……そして、その奥にいたヴィオレをも殺そうとした。私は、咄嗟にエリーゼに気づかれないように魔法を使い、何とか気づかれずに軽傷で済ます事が出来ました。」
「なるほど、それで分かったような気がする。何故ヴィオレが、あの程度で済んでいたのかが。」
サアヤがそう言うと、レオルドはフェリアをみた。
「フェリア様、聞きたい事があるのですが。運命の女神である貴方が人間になってまでも、何故?何の為に?それが、ブラットの為だとしても。何をしようとしているのですか?その行動が、私には理解出来ないのですが。」
「それは、あそこでブラットが死んでしまっては、この世界が……。」
「本当にそれだけだったのですか?じゃ、その前に何故ブラットを救う事は出来なかったのですか?直に力を使い救う事が出来なかったとしても方法はあったと思うのですが……。」
「レオルド。今そこにブルーノアがいますね。そして、その言葉自体貴方の言葉とは思えません。」
「流石ですね、しかし、ブルーノア様はフェリア様に何度か話しかけていたようですが……。」
「そ、それは……分かりました。本当の事を話します。」
するとフェリアは下を向きながら少し考えた後、本当の事を話し出したのだった…。
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