97話〜指し示すままに


 ここは洞窟の中。ハウゼルは自分の仲間達とセレネアの治療などをしていた。


 ハウゼルはセレネアの身体の状態を見ていた。


「何度か起こしてはみたが、起きる気配はない。治療の方はこれで済んでいる筈なのだが。やはり、ショックの方が大きかったのかもしれないな。さて、どうする……。」


 セレネアを見ながらハウゼルは考えた。


 すると、急にハウゼルの視界が歪みだし、


「これはいったい……。」


 すると、バタンと倒れ込むように眠ってしまった。


 ……ハウゼルの夢の中で語りかける者がいた。


 “ハウゼル。私は、空間を管理する女神ブルーノア。貴方に伝えなければならない事があります。”


(これはいったい……ここは何処なんだ?)


 “私は貴方とは会話をする事は出来ません。ですが、今後のレオルドの為、この事だけでも伝えておかねばと思ったのです。”


 ハウゼルはブルーノアの話を聞いていた。


 ブルーノアはハウゼルにブラットの事やレオルドの事、そして今何が起きているのかを話した。


 “ハウゼル、私は真実を全部レオルドに話してはいません。真実を全部話してしまえば、恐らく運命が変わってしまうかもしれません……それと、セレネアの事なのですが、本来ならここで死を迎える筈でした。いえ、これは間違った運命の為か、本来であれば、運命のズレが起こっていなければ、このような事は起こる筈がありませんでした。”


(なるほど、そうなると……。)


 “それでなのですが、ハウゼル。セレネアが生きている事はしばらくの間は、レオルドにも誰にも知られないようにして欲しいのです。それと、レオルドは今レマイスの所に向かっています。”


(レオルドがレマイス様の所に……。)


 “先程私は、レマイスに真実を伝えておきました。そして、これからのレオルドの行動の指示も伝えてあります。それで、貴方にはネリウスの所に行き伝えて欲しいのです。レオルドが仲間を裏切り城に戻ったと……。”


(ネリウス様を欺くという事か……。)


 “これは貴方とレオルドにとって酷な事かもしれませんが、私はゲリュウデスに気づかれる訳にはいきません。そろそろゲリュウデスが来る頃だと思います。この場を離れなければなりません。ハウゼル……レオルドとセレネアの事をお願いしますね。”


 ハウゼルはブルーノアを見て頷いた。


 ブルーノアはそれを確認すると安心した顔になり姿を消した。


 そして、ハウゼルは目を覚まし辺りを見渡した。


(レオルド。アイツ大丈夫なのか?うまくやれればいいが。そういう、俺もネリウス様を欺くとなると。さてどうする?……それはそうと、セレネアを上手く隠さなければな。それに、死んだ事にするとなると……。)


 そして、そう思いその場でしばらくこれからの事や色々な事を考えていたのだった…。

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