96話〜望みを託し
セレネアはレオルドに攻撃を仕掛けようとしていた。ハウゼルは我に返り、その光景を見て確信した。
(これは……何者かに幻覚を見せられているのか?だとすれば、いったい誰が?)
そう思い考えているとレオルドがハウゼルの胸ぐらを掴んだ。
「レオルド、何のつもりだこれは!?」
「さあ、知りませんね。ただ、ハウゼル。貴方にはここにいて欲しくはなかったのですが。」
ゲリュウデスに気づかれないように魔法のメッセージカードをハウゼルの懐に忍ばせた。
(信じてくれるだろうか?私なんかの言う事を。だが、この場を切り抜ける方法は、今はこれしか思いつかない。)
……そうレオルドは魔法のメッセージカードに自分の思念を送り、今何が起きているのかをハウゼルに伝える為に。
ハウゼルはレオルドが自分の懐に魔法のメッセージカードを忍ばせた事に気がつき、
(ん?これは……。)
そう思い気づかれないように懐に手を添えようとしたが、レオルドは胸ぐらを掴んだまま、
(ハウゼル。すまない、今は……。)
ハウゼルを右拳で渾身の力を込め殴った。
しかし、元々レオルドは腕力がなかった為、ハウゼルは少し後退しただけだった。
「レオルド!?何故殴る!てか、まあいい。お前に殴られても痛くも痒くもないしな……。」
「はぁ、自分でも呆れますよ……ですが。」
と言おうとした。その時……
《トルナード ネーヴェ!!》
とセレネアが呪文を唱える声が聞こえ、レオルドとハウゼルが気がついた時には既に遅く、雪と大竜巻が2人を襲った。
レオルドとハウゼルは慌ててバリアの魔法のカードを使い多少傷を負ったが何とか耐えた。
それを見たネリウスの配下の者達はハウゼルを助ける為に、いつの間にかセレネアに向け一斉に様々な魔法を放っていた。
レオルドはそれを見て、
「セレネア〜〜!?」
セレネアに駆け寄りながらレオルドは怒りのままに杖を翳し、
《フリージング オブ イクスプロージョン!!》
と呪文を唱えるとネリウスの配下の者達を凍らせた後爆破した。
ネリウスの配下の者達は見た事もない魔法を放たれなす術なく、バタバタと倒れていった。
レオルドはセレネアに駆け寄ろうとした。
ハウゼルはそれを見て、
「レオルド、お前……。」
レオルドに杖を向けながら、懐の魔法のメッセージカードを気づかれないように読み取った。
(……これは、これが本当ならば、恐らく何処かでそのゲリュウデスという神が見ている。ここは仕方ない。レオルドにかけてみるか。)
そう思いながらハウゼルは杖を翳し、
《フィアンマ ブルチャーレ!!》
と呪文を唱えると無数の深紅の炎が杖の先に現れた。
その無数の深紅の炎を放つとレオルドを覆った。
レオルドは敢えて気づかないふりをし、その攻撃を受けた。
「クッ……はぁはぁ、ハウゼル。よくもやってくれましたね。しかし……はぁはぁ、この場は流石に私にとって不利なようですね。」
(ハウゼル。後の事は……。)
「レオルド、どうするつもりだ!?」
「私はこれで終わりにしたいと思いますので。」
そう言うとレオルドは杖を翳し、
《アイス オブ ブレッド!!》
と呪文を唱えると無数の氷の弾丸がハウゼルに襲いかかった。
その間、レオルドは洞窟の外へと向かった。
ハウゼルはその攻撃に数発あたりながらも何とか回避しレオルドが洞窟の外に逃げるのを見て追いかけた。
ゲリュウデスもそれを見て2人の後を追った。
レオルドとハウゼルは交互に魔法攻撃を放ち、洞窟の外に出ると、
「さて、私はこれにて……。」
レオルドは指をパチンと鳴らし、
《テレポート!!》
と呪文を唱えるとその場から消えた。
「待て!レオルド……いったい、お前は何を考えている!?」
ハウゼルはまた洞窟の中へと入っていった。
“レオルド、何処に向かった?ネリウスの所ではないと思うが。ふむ、洞窟の方も気になる。だがここは、レオルドを追うのが先か。”
そして、ゲリュウデスはネリウスの元に向かったのだった…。
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