95話〜オリジナルの魔法のカード

 セレネアは兵士達に攻撃を仕掛けていた。ハウゼルはそれを見て不思議に思った。


(これはいったい。あのセレネアという賢者と兵士達が⋯⋯どうもこの状況が見えない。まるで別の何かと戦っているかのようだ。)


 そう思いながらハウゼルはレオルドの方を見た。


(レオルド、少しやつれたか?何があったか分からないが、何故こんな事を?やはり、どうも腑に落ちない。あの穏和なアイツが、こんな事を?もう少し様子をみた方がいいか?)


 そう思いながらハウゼルは怪しまれるのも不味いと思い攻撃する振りをした。


 レオルドはセレネアを助ける為、ネリウスの配下の者達に攻撃を仕掛けた。


(このままでは、セレネアが……。)


 《アイス オブ アロウ!!》


 と呪文を唱えると、ネリウスの配下の者達に氷の矢が降り注いだ。


 ネリウスの配下の者達は慌てて魔法のバリアを張り防いだ。


 だがしかし、魔法のバリアの隙間を縫い、数本の氷の矢がネリウスの配下の者達に当たった。


 ハウゼルも魔法のバリアを張り防いでいた。


 そして、レオルドはハウゼルがいるのに気がつき近づいていった。


(ハウゼル、何故ここに?ネリウス様に言われて来たのか。だとすれば……いや、私の話を信じるだろうか?)


 そう思っているとハウゼルはレオルドが近づいて来るのに気がつき、


(レオルド。何故、私の方に向かってくる?確か、魔法のカードを使い、自分にかけられた何かを浄化していたのを確認しているが……。)


 そう思いながらハウゼルは警戒しながらレオルドに近づいていった。


 レオルドがハウゼルの方に向かっている事にネリウスの配下の者達は気がついた。


 ネリウスの配下の者達は一斉に様々な魔法をレオルドに向け放った。


(クッ、こんな時に……仕方ない。これを使うしかなさそうですね。これは後にとっておこうと思ったのですが。)


 レオルドはそれを見ると、何かの為にと懐に隠しておいた三枚の魔法のカードを、すかさず術式が書かれている方を外側に翳し、


 《プリフィカツィオーネ マギカ!!》


 と呪文を唱えるとネリウスの配下の者達が放った魔法が浄化され一瞬の内に消え去った。


「な、何だその魔法のカードは!?」


 とネリウスの配下の者達の1人が驚き叫んだ。


 それを見たハウゼルも驚き呆然とその場に立っていた。


 “これは……レオルド、まさか魔法を消し去るカードを、いつの間にか作っていたとはな。やはり、この男は、今の内に始末しておいた方が良さそうだな。”


 ゲリュウデスはセレネアに幻覚を見せた。


 そしてセレネアは急に叫び泣き出した。


「イャァーー⋯⋯来ないでぇ〜ヒクッ……。」


 セレネアは泣きながらレオルドを睨みつけ攻撃をしようとしていたのだった…。

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