91話〜策略

 ここはスカイネーブル城。あれから約2年の月日が経ち、レオルドは相も変わらずセレネアと共に病の事や異変について、情報を集めたり調べたり、サアヤの監視をしたり、国の内情を密かに調べたりと、頭を悩ませる日々が続いていた。


 レオルドはいつものように書庫の整理をしていると、1人の賢者がレオルドの所に来た。


 その賢者はネリウスから預かって来た手紙をレオルドに渡すと書庫を出て行った。


 レオルドは手紙を読むとそこには、


【レオルド話したい事がある 至急スカイサージュの私の部屋に来い】


 と書かれていた。


(ネリウス様が、私に話とは……今度は何をしろと……。)


 そう思いながら書庫の整理を中断しスカイサージュのネリウスの部屋に向かった。



 その頃、ネリウスは自室でゲリュウデスと話をしていた。


「ゲリュウデス様、このスカイネーブル全域に及ぶ異変や病の元凶……もしやと思い調べて見ましたが、やはりあの魔法道具から漏れ出したブラットの力だったようです。」


 “やはり、そうであったか。だが何故?誰もそれに気づかなかった。ふむ……さて、どうする。”


「魔法道具から漏れ出していたブラットの力は余りにも微量過ぎた為、誰も気づかなかったようです。」


 ゲリュウデスとネリウスが話をしている頃、レオルドは思っていたよりも早く着き、ネリウスの部屋の扉の前で、その話を偶然に聞いていた。


(これは、なんという事でしょう。まさか、それが本当であるなら、それをどうにかしなければならない。しかし……どうすればいい?)


 レオルドはそう思いながらネリウスの部屋の扉の前で座り込んでいた。


 すると、ゲリュウデスはレオルドの気配に気づき、


 “ネリウス。レオルドが思ったよりも早く来てしまったようだな。”


(ゲリュウデス様。まさか今の話を聞かれたのでは。)


 “扉の向こうにいるレオルドの様子を見たが、座り込み何やら考え込んでいた。その様子を見る限りだと、聞いた可能性は高いな。”


(これは迂闊でした。しかし、レオルドを利用するのも、そろそろ潮時かと思っていた所。)


 “そうだな。だがネリウス、お前の手を汚さずにレオルドには自滅してもらった方がいいだろう。”


(なるほど、それは良い案ですが。そうなると何らかの策を考えなければなりませんが……。)


 “そうだな。確かレオルドは、レマイスに命じられセレネアという女賢者と共に、スカイネーブル全域の異変などを調査していた筈だ。それを利用し罠にはめ、自滅してもらうというのはどうだ?”


(なるほど、それは名案かと。それでは私は、レオルドが先程の話を聞いていた事を知らないふりをしていたいと思います。)


 “そうだな。その方が良いだろう。”


 そして、レオルドが自分から部屋の中に入って来るのを、ネリウスとゲリュウデスは待つ事にしたのだった…。

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