81話〜レオルドが知る過去の出来事‥③

 レオルドは自室で椅子に座り本を読んでいたが、先程ブルーノアに言われた事が気になり、ページが進まず読むのをやめ本を閉じた。


(ふぅ。ブルーノア様は、何故私などに、こんな大事な事を……。)


 そう思いながらレオルドは、気分を落ち着かせる為、スカイサージュ大聖堂の方に向かった。


 大聖堂の近くには色取り取りの草花が辺り一面に咲き誇る丘があり、そこから眺める景色の眺めが良く心が落ち着く為、レオルドは何かあるとここに来ていた。


 そして、レオルドは大きく深呼吸をした。


 そして地面に座り、既に夜になり薄暗く灯りがちらほらと見える景色を眺めながら、


(さて、どうする?やはり、ブルーノア様が言っていたブラットの事が気になる。確かスカイサージュの建物の何処かに居ると言っていた。ネリウス様に気づかれないように探すとなると……。)


 そう思いながらレオルドは立ち上がり、スカイサージュの建物の方に向かった。


 しばらく歩いていると、1人の見知らぬ男がスカイサージュの建物の奥の方から、慌てて出て来たのを見て気になり声をかけた。


「こんな夜遅くに、こんな所で何をしているのですか?それに、いったい貴方は何者ですか?」


 そう言われ、その男はレオルドに驚き、


「お、俺は……いや待て、あんたはあいつらの仲間なのか?」


「仲間?何の事を言っているのですか?」


「じゃ、仲間じゃないんだな!それなら、頼むあの少年を助けてあげて欲しいんだ。」


「今何て言いました?少年って言ったのですか?まさか……その子は今何処に!?」


 レオルドが聞くと、遠くの方から人の気配と声がしたので、不味いと思い慌ててレオルドはその男を残し、その場から姿を消し物陰に隠れた。



 ……しかし、ゲリュウデスはレオルドの、その行動を見ていた。



 そして、レオルドが姿を消すとその男は慌てて逃げた。


 ネリウスは、その様子を伺いながらこっちに向かって来ていた。


 すると、ゲリュウデスがレオルドの頭の中に話しかけて来た。


 “レオルドと言ったな。お前は何処まで聞いて知っているかは分からんが、この事を誰かに漏らせばどうなるか分かるな!”


 ゲリュウデスはレオルドを軽く脅す為に術をかけた。


 レオルドは術をかけられ一瞬驚き姿を現し頭を抱え苦しみ出した。


「はぁはぁ、あ、頭が割れるぅぅーー……あぁぁーーー……。」


 そして、そこにネリウスが現れレオルドを見て、


「レオルド。これは警告だ!言っている事は分かるな。それと、これはお前次第だが私の手伝いをしてくれると言うならば、見逃してやっても構わない。どうする?」


「ネリウス様。はぁはぁ、いったい何の事を言っているのですか?」


「レオルド。お前は何も知らないと言うのか?神の声も聞いていないと言うのか?」


「はぁはぁ、何故私のような者が神の声を聞いたと思われるのですか?はぁはぁ……。」


「まぁ、お前が何も知らないと言うのであれば、それで構わない。ただ、私を裏切るようであれば分かるな!」


 そう言うとネリウスはまた奥の建物の方に向かって行った。


 レオルドは、その場は何とか回避出来たが、この先どうするかを、自室に戻り考える事にしたのだった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る