80話〜レオルドが知る過去の出来事‥②
ここはスカイネーブルの街の中。
レオルドはネリウスに頼まれ、備品の注文をする為雑貨屋にきていた。
そして、店の者に備品の注文書とお金を渡し、いつものように品物は後で倉庫の方に届けるように言い店を出た。
レオルドが街の中を歩いていると、中年の男女が歩きながら冒険者の話をしていた。
「そういえば、冒険者が城に招かれているらしいな。」
「そうみたいね。どんな人達なのかしら?一目でいいから会ってみたいわ。」
レオルドはそれを聞きながら、男女の横を追い越して行った。
賢者の住む建物はスカイサージュという。この名前を付けたのは大賢者ドルマノフだ。
そして、スカイサージュに着くと、レオルドはいつも通り書庫の整理を始めた。
そして、書庫の整理を終えると部屋を出て自室に向かった。
(ふぅ。さて、今日は思ったより早く仕事が終わったし、ゆっくりと部屋で本でも読むとするか。)
レオルドがそう思いながら廊下を歩いていると、ネリウスに声をかけられた。
「レオルド、書庫の整理は終わったのか?」
「はい、ネリウス様。」
「そうか、ちょうど良かった。レオルド、お前に頼みたい事がある。すまないが、この親書を至急城に届けて欲しいのだが。」
レオルドはネリウスから、その親書を受け取り城に向かった。
……その時既に、ネリウスはある計画を実行していた。そして、それを行う為、ネリウスはこの建物の中の特別に作られた場所に向かった。
場所は移り、ここはスカイネーブル城。
レオルドは城に着くと従者にネリウスの親書を渡した。
そして城を出てスカイサージュに向かった。
レオルドはスカイサージュに着くと自室に向かうが、書庫に忘れ物をしたのを思い出し急ぎ向かった。
(あー、今日は何だ!せっかくゆっくりと本が読めると思ったのに、その本を書庫に忘れてくるとは……。)
そう思いながら書庫に着くと、本を取り部屋から出ようとした。その時、レオルドの視界が歪みだし急に眠気に襲われた。
「な、何だ!……この眠気……は……。」
レオルドはその場に倒れ込むように眠ってしまった。
……夢の中でレオルドを呼ぶ声がした。
“……レ……オルド……聞こえますか?……。”
レオルドはその声がする方を見た。
“誰なんだ?いったいここは、どこなんだ?”
しかし、レオルドの声は届いていないようだった。
“やはり、まだ私と会話する事は無理なようですね。でも、私の声は聞こえている筈ですので伝えますね。私の名前は空間を管理する女神ブルーノア。そして、貴方に頼みたい事があるのです。今このスカイサージュの建物の中の何処かに1人の少年が捕まっています。その少年は眠らされているようです。”
レオルドは一方的に話され何がなんだか分からないまま呆然と聞いていた。
“その少年に、異空間を操り時間をかけ術式を使い呪いをかけ、何らかのパイプを繋ごうとしているらしいのです。それを行なっている者が誰なのか、やっと分かりました。それは、ネリウス=ブレラとそれを守護する神ゲリュウデスだったのです。”
レオルドは驚いた。
“その子の名前はブラット=フレイ。将来魔導師の王となる者。ただこのままでは、ブラットの運命が変わってしまいます。そして、その力を悪用し利用しようとしてるらしいのです。レオルド、今の貴方では助ける事は不可能かもしれません。ですが、貴方であればネリウスとゲリュウデスの陰謀を阻止する事が出来るかもしれません。お願いです……あっ!ゲリュウデスに勘付かれました。レオルド、私は貴方を信じています。お願いしますね。”
そう言うとブルーノアは消えた。
そしてレオルドは目が覚め恐る恐る辺りを見渡しながら起き上がった。
(それにしても。いったい、さっきの夢は何だったんだ?それに、私は何故こんな所で寝ていたんだ?でも、もしかしたら、あれは夢ではなかったのか?ブラット=フレイ。本当に、ここに捕らえられてると言うのか?もし、あれが夢でないとすれば……だが、信じられない!ネリウス様が、そんな事を企んでいるなんて……しかし、女神は……。)
そう思いながら書庫から出て自室に向かった。
そして、ネリウスとゲリュウデスは、レオルドがその場を離れると、
“ネリウス。あのレオルドという男。もしかすると、神の声を聞いたかもしれんな。我が、気づいた時には既に消えいなくなっていた。だが、間違いなくこの辺りからその気配を感じたのだがな。”
(ゲリュウデス様。では、しばらくの間、レオルドを見張っていた方が良さそうですね。)
“そうだな。レオルドの件がある以上、策を急がねばならんな。”
(はい。ガルドが留守の今、急ぎ取かからなければ、大変な事になってしまいます。)
“だが、ドルマノフがブラットにかけた封印のせいか、あの術式を使い呪いをかけても、なかなかパイプが繋がらず。余計な事をしてくれたものだ!”
そして、ネリウスとゲリュウデスはその場を離れブラットが捕らえられている部屋に向かったのだった…。
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