61話〜テレポーター

 その頃フェリア達はティールの街の宿屋の外にいた。


 シェイナルズ城の方向からはドラゴンの雄叫びが聞こえ地響きがした為、フェリア達は何が起きたのかと思い不安になった。


「これはいったい?シェイナルズ城でなにが起きたというんだ!」


「ブラットの身に、何かあったのでしょうか?」


 フェリアは不安になりながらシェイナルズ城の方を見ていた。


「サアヤ。それにしても何故こんな所にドラゴンが現れた?普通じゃありえねぇ。まさか、誰かが召喚したか?何らかの封印を解いたんじゃねえよな。」


「フリックの言う通りだ。確かに、誰かが召喚でもしない限り、ドラゴンがこんな場所に現れるはずがない。」


 サアヤは少し考えていたが、城の方から聞こえてきていた、ドラゴンの鳴声が先程と変わったのに気がついた。


「ドラゴンの鳴声が変わったように感じるのだが?」


「確かに?急に苦しそうに雄叫びを上げている様に感じるのですが。」


「本当だね。何か鳴き方が苦しそう。何があったんだろうね?」


「そうですわね。私は、ブラットの事が気がかりですの。」


「確かに俺も、ブラットの事が心配だ。何もなけりゃいいんだけどな。」


「そうだな。どうする?ひとまずシェイナルズ城に急ぎ行きたい。しかし、恐らく、ここからでは間に合わないだろうな。」


「方法ならあります。テレポーターを使えば何とかなるかと。ただ、この人数でこれをするのはあまり自信がないのですが……。」


「フェリア。テレポーターか、少人数なら出来そうか?」


 フェリアは少し考えた後、


「恐らくは、少人数なら何とか可能だとは思いますが?」


「そうなるとだ。誰が残るかだが。」


「ブラットの事が気になりますの……でも、行ったとしても恐らくは足手まといになってしまうと思いますし。私は残り宿屋に待機してますの。」


「そうだね。私も残ろうかなぁ。それに、ヴィオレッタ1人置いていけないしね。」


「俺も行く。今度こそブラットを助ける。」


「グレン、今回はお前は残った方がいい。」


「でも……俺は、ブラット が心配なんだ!そばにいて助けてやらないと……。」


「お前の気持ちは分かる。だが、この感じは尋常ではない。それに、ここにヴィオレッタ1人置いて行くわけにもいかない。」


「……確かにそうだよな。今の俺じゃ確かに足手まといだし。それに、確かにサアヤの言うように、ヴィオレッタ1人置いて行くわけにもいかないしな。」


「グレンすまないが頼む。そうなると、フリックとフェリアと私で行くことになるな。」


「ああ、そうなるな。とりあえず急がねぇとな。」


「ええ、そうですね。」


 フェリアは目を閉じ両手を前にして念じた。


 《テレポーター!!》


 するとゲートが開き、フェリア達3人はコトネ達に手を振りゲートをくぐり、シェイナルズ城に向かったのだった…。

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