19話〜魔族領土エクスダール国キリア城
ここは最果ての地に位置する魔族達が支配する国エクスダール。
キリア城はこの国の中心に位置する。
そして、城の中ではブラットが旅立った事で、魔族の王クレイデイル=ミュー=キリアは妹のカトレアや大臣達を呼び出し話を始めた。
「どうするつもりだ!?流石に、このままにするつもりはないよな」
大臣のデルカ=マディは、
「陛下、勿論。こちらも手を尽くすつもりですが。ただ、ブラット様は神と契約をされてしまいましたので」
「クッ、神がまさか、ブラットに目をつけて来るとはな。用心していたつもりだったが」
「しかし、何故女神がブラット様に?」
「俺にも、理解出来んのだが。デルカ、お前が度々教えてくれた情報だと、確かガルドはブラットに戦い方を教えていなかったんだよな?」
「はい、そうだった筈ですが?」
「これは、ブラット1人では旅が無理と判断したと考えるのが妥当だと思うが?」
「お兄様。このままではブラットが成人したら、ここに呼び寄せるという計画が叶わなくなってしまうのでは?」
「確かにな。今のままでは神の思惑どうりになってしまうな」
「陛下にカトレア様。配下の者に命じ、今まで以上に監視を強化させ、神の思惑が何であるのか、様子を見てはどうかと思うのですが?」
「んー、確かに、それがいいのかもしれんな」
「それでは早速、その様に手配して参ります」
デルカは一礼をし、その場を去った。
「カトレア、すまないな。俺がもっと早く王の座に座ってさえいれば、こんな面倒な事にはならずに済んだというのに」
「いいえ、仕方がなかった事なのですから。お兄様は王となる決心をされたのも、私の為だったのですから」
「あの時、前の大臣オムニデスが、ガルドとブラットから、お前を引き離し連れ去り、この城の部屋に監禁した。それを知って、俺は自分が王にならねば、この国を変えることもお前の幸せも守れないのだと、やっと気づいた」
「お兄様、ご相談があるのですが?」
「相談とはなんだ?」
「今ガルドは1人で家にいます。それでなのですがここに呼び寄せるか、私がガルドの側に行けたらなぁと思ったのですが?」
「ふむ。しかしなぁ、カトレア。ブラットなら構わないのだろうが、お前も覚えているだろう。以前ここにガルドが来た時の事を」
「はい、覚えているつもりですが、あれはガルドが悪い訳ではないと私は思いますが?」
「確かに、そうかもしれんが、ここでまた暴れられても事なのでな。特に、あの時の事をきっかけに、ビスカは未だにガルドを探していると聞いているが?」
「ビスカがですか?あらあら、まだ諦めていなかったのですね」
「ビスカも困ったもんだ。んー、カトレア。やはり心配か?」
「はい、ガルドはビスカの事を相手にはしないと思いますが、心配なのはガルドが疲れてしまうのではと思うのです」
「カトレア。確かにガルドは一途な男だ。ただ、ビスカの件もあるしな。アイツならお前を守る事も可能だろう。ということで側に行く事を許可する!」
「お、お兄様。ありがとうございます」
「ただし、無理はするなよ!」
「はい、分かっています。では、支度をしてきますね」
カトレアは嬉しそうに自分の部屋に行った。
そしてクレイデイルは、カトレアが喜んでいる姿を見て、自分の事の様に嬉しくなり微笑むのだった…。
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