18話〜過去の遺物と過去の異物

 ここは、シェイナルズ城より南西に位置するタバルの森。


 ガルドは歪みの洞窟を封印する為に来ていた。


(それにしても、何でまた歪みの洞窟が現れたんだ?まぁ、考えても仕方ない。行ってみるしかねぇって事だしな)


 そう考えながらガルドは歩いていると目の前に洞窟が見えてきた。


 そしてガルドはその洞窟の近くまで来たが、既に冒険者や傭兵などが数名来ていた。


(……クッ、どうなっている?このままじゃ犠牲者が増えるだけじゃねぇか。マグド、いったい何を考えてこんな事を?この歪みの洞窟の恐ろしさをお前は知っている筈なのに……何でだ?)


 そう思いながらガルドは洞窟の方を見ていた。


 すると洞窟の右側の方で何かが光ったのが見え、それに気付き、ガルドは気づかれない様に、洞窟の右側に移動し地面を調べ始めた。


 すると何かの欠片らしい物が地面のあちらこちらに落ちていた。


 それを手にとって見るなりガルドは、


(これは……封印石の欠片じゃねぇか。クソ〜なんて事だ!しかも俺が封印した筈の物が、何で、ここにあるんだ?それにいったい誰が封印を解いた?)


 そう考えていると、洞窟の入り口付近で警備兵と派手目の女性が何か揉めているようだった。


「あのねぇ。さっきから言ってるけど、この歪みの洞窟は危険なのよ!それにせっかく、愛しのマイダーリンが苦労して封印したのにぃ〜」


「そんな事を言われてもな。俺は王に命じられてここの警備してるだけだ!」


 ガルドはそのやり取りを聞いていて、その女性の声に聞き覚えがあり顔が蒼ざめた。


(ん?確かこの声って。それに愛しのマイダーリンって背筋が寒くなるような事いう奴は、アイツしか俺は知らん。こりゃ今日は諦めて帰った方が良さそうだ。じゃねぇと違う意味で俺があいつに殺されちまう!! )


 そう考えた後、ガルドはひとまずここから移動しようとした。


 だがしかし運悪くビックパープルスネークがガルドを見下ろしながら舌を出しにらみつけていた。


(こりゃ、まいったね〜。そう簡単にはおとなしく逃がしてくれねぇだろうしな。あー、どうしたもんか)


 そう考えた後、ガルドは仕方なく剣を抜いた。


 そしてガルドは、ビックパープルスネーク目掛け剣を振り下ろそうとした瞬間後ろの方から、女がガルドを見つけて声をかけて来た。


「あー、こんな所にいた!あたしの愛しのマダーリーーン。ガルド〜!会いたかったわ〜」


 ガルドは、うわ〜っと叫び、振り下ろそうとしていた剣を落としてしまった。


 挙句の果てにビックパープルスネークはガルドめがけて大きな口を開き襲いかかって来た。


 ガルドは慌てて回避し剣を拾った。


「あのなぁ〜。ビスカ!前から言ってるだろが戦闘中はそれやめてくれって。それに普段もな!」


「えーヤダー絶対にー!」


「お前は、いくつになった?その歳で、えーヤダーは絶対ありえねぇー。てか、そこで見てねぇで、こいつ倒すのを手伝え!!」


「ラジャー。ではでは、ビスカオリジナルでもお披露目しますかな!」


「おい、それだけはやめとけ。いいな、絶対それやるなよ。もしやったら半殺しじゃすまねぇからなぁ」


「えー、何で何で〜。せっかくガルドの為に、魔法調合してきたのに〜」


「おい、ビスカ。今の状況分かってんだろなぁ。俺がどういう状態かーーー!!!!」


 ガルドはビッグパープルスネークの攻撃をかわしていた。


「仕方ないなぁガルド。そんなにあたしと共闘したかったのなら早く……」


 ガルドはキレてた。そして、近くにあった大きめの石に魔力を込めビスカめがけて投げた。


 そしてビスカはその石を嬉しそうに受け取った瞬間爆発した。


「これはかなりの火薬量。という事は、こんなにも私は愛されて」


 ガルドは溜息をつき、もういいと言わんばかりに無視する事にした。


 その様子を見てビスカは納得し深呼吸してから杖を持ちいきなり、


 《ストーン バースト!!》


 呪文を唱えると無数の石飛礫がビックパープルスネークめがけて飛んできてあたった。


 そしてガルドは分かっていたかの様に、弱っているところをすかさず剣で切り、ビックパープルスネークを倒した。


「おい、ビスカ。いい加減にしろ!! 危うく俺まで巻き添えくう所だったじゃねぇか!! 」


「そう?勝てたし、ガルドも無事だし問題ないな〜い」


「はぁ〜、まぁ、これ以上は面倒だし、とりあえず出直してくるしかねぇな」


「えー、行っちゃうの?マイダ〜リン!私もついて行く〜」


「うわぁー、ついてくるなぁーーー」


 ガルドは逃げ、ビスカは追いかけた。


「ガルド〜待ってよーー」


「だから、ついて来るなって言ってるだろー!?」


 2人はそのやりとりを繰り返しながら、家までの追いかけっこが続いたとさ。

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