198話~一難去ってまた一難

 タツキはハルバードを身構える。


 《蒼龍槍連水斬!!》


 そう言うとハルバードの刃を水が覆った。それを確認するとタツキは即座にハルバードを上に翳しデブピエロ悪魔に目掛け刃を振り下ろす。


 振り下ろされた刃は周囲に水飛沫をまき散らしながらデブピエロ悪魔を連続で斬っていった。


 デブピエロ悪魔は水を含んだ刃で斬られ変形を停止する。


 その間もタツキは手を休めることなくデブピエロ悪魔を攻撃していった。


 その様子をみていたハクリュウは今だと思い大剣を構え直しデブピエロ悪魔を見据える。


 《白龍聖W斬り!!》


 そう叫びハクリュウは剣先を向けるとデブピエロ悪魔へと降下した。そして、そのまま剣先をデブピエロ悪魔に思いっきり突き刺す。


 その後、素早くWの形に大きく斬った。すると斬った箇所がWの形に激しく発光する。


 ――グギャアァァアアアー……――


 奇妙な叫び声が辺りに響き渡った。それと同時にデブピエロ悪魔は、パーンっと破裂し消滅する。


 破裂した破片は宙を舞いながら虹色に光って消滅していった。


 その間ハクリュウは地面に着地しその光景をみながら息を整えている。


「ハァハァハァ……やっと倒せた」


 タツキもまた、やっとかと思いながらデブピエロ悪魔が消滅するのを安堵しながらみていた。


「ああ、時間はかかったがな」


「そうやな。せやけど二人共、思たよりも連携とれとったで」


 そう言いながらクレイはタツキのそばまでくる。


 ハクリュウもタツキのそばまできた。


「確かに今回は思ったよりも上手くいった」


「タツキさん……そうですね。自分でも今まで以上にやれたと思います」


「俺もだ……ハクリュウ。それはそうと……これからどうする?」


 そう言いタツキはハクリュウとクレイをみる。


「そうやな……」


「そうですね……そういえばクロノア達は、どこに行ったんですか?」


「恐らく城の外に居ると思うが」


 タツキはそう言うと周囲を見回してみた。


「タツキさんっ!」


 そう言いながらユウが駆けてくる。


「ユウ……どうしたんだ? 随分と慌ててるみたいだが」


「ハァハァ……ノ……ノエルが…………」


 ユウはタツキ達の所までくると地面に座り込んだ。


「ノ、ノエルさんが……どないした? まさか大怪我でもしたんか!」


「……クレイ……居たのか……まあいいか。怪我はしていないと思うけど……」


 そう言いユウは何があったのかを説明する。


「待てっ! ミリアも一緒に居なくなったのか?」


「ああ、ハクリュウ……恐らくそうだろうな。ノエルとミリアはバルムと一緒にシェルズ城に向かったかもしれない」


「タツキさん、なんでシェルズ城に向かったって分かるんですか?」


 不思議に思いハクリュウはそう問いかけた。


「……バルムはガインのことを気にかけていた。それに今回のことで上の命令に疑問を抱いてたはずだ」


「そうだとして、ミリアとノエルがなんで?」


「探るんが目的なんちゃうんか」


 そう言いクレイはタツキへ視線を向ける。


「クレイ、俺もそう思う」


「そうだとしても……ノエルが……そんなこと……しなくても……」


「そうやな……連れ戻しに行かな、まずいやろ」


 クレイはそう言うと無作為に一点を睨んだ。


「確かにな……行くにしても一旦みんなで相談してからの方がいいだろう」


「そうですね、タツキさん。じゃあ、みんなをここに呼んだ方がいいですよね?」


「ハクリュウ……その方がいいな。だが、どう連絡をとるかだ」


 そう言いタツキは、どうしたらいいかと悩んだ。


 その後ハクリュウ達四人は案を出し合った。


「そうだな……一人はガインのそばに居た方がいいだろう。ヤツラがどこでみているか分からない」


「そうですね。城の周りだけなら三人で手分けをして探せば……」


 そう言いハクリュウは三人を順にみる。


 ここに誰が残るか四人は決めた。残るのはタツキで、あとの三人でみんなを探しに向かうことになる。


 そして、その後ハクリュウ達は手分けをしてみんなを探しに向かった。

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