197話~予想通り

「どうしてお前は昔からそうなんだ!」


 怒鳴られブラグジオスは小さくなっていた。


「暇だったんだ……だから、つい出来心でな」


「それで済まされることなら我は何も言わぬ。だが今どんな状況か分かってるはずだ」


「そうだな……すまん」


 ブラグジオスがそう謝るもシェルギオスの怒りは治まらない。


「謝って済むことじゃない。だが本当に反省しているんだな?」


「ああ……勿論じゃ」


「まあいい……それで、いつから分身に手を加えておった?」


 そう言いシェルギオスはブラグジオスを見据える。


「タツキが我の分身と戦い始めた辺りだ」


「なんでそんなことをした?」


「だから……さっきも言ったはずだ。我だけ暇でつまらなかった」


 それを聞きシェルギオスは龍語で詠唱し始める。


 それに気づきブラグジオスは、どこかに逃げ道がないかと周囲を何度もみた。


 だが逃げ道はなくブラグジオスへと雷が落ちる。


 ブラグジオスは逃げられず雷が真面に当たった。そして黒い体が更に黒くなり口から煙を吐いている。


「ケホッケホッ……なぜ攻撃するっ!」


「いい加減にしろっ! 我らは遊んでいる訳じゃない。それに……分身に手を加えることができるなら自らなんとかできたのではないのか?」


「いや、手は加えられるが消滅させられない」


 ドヤ顔でブラグジオスは言った。


「……そういう事か、まあいい。だがここで、お前を見張っているからな」


「分かった……では、何について話しをする?」


「……」


 そう聞かれシェルギオスは何も言えなくなる。


「我の相手をしてくれるのだろう?」


「フゥー……仕方ない話し相手になってやるか」


 ブラグジオスはそれを聞き喜んだ。……相当退屈だったらしい。


 その後シェルギオスとブラグジオスは中庭の様子をみながら話をしていた。



 ★☆★☆★☆



 ここは中庭のデブピエロ悪魔が居る場所。


 あれからハクリュウとタツキは各自持ち場についてシェルギオスからの合図を待っている。


 そうクレイの予想が合っているかシェルギオスが確認をしに行ったからだ。その確認をしたあとハクリュウに連絡がくる手はずになっている。


 “ハクリュウ、クレイの予想通りだった”


(じゃあ、予定通りにやればいいんだな?)


 “そうなるな。我はブラグジオスの監視をせねばならぬ”


(分かりました。あとはタツキさんと、デブの怪物を倒します)


 そう言いハクリュウはタツキの方をみたあと両手をげ頭上で丸をつくった。


 それを確認したタツキは両手を眼前に翳す。


「こいっ、シャギオス ハルバードっ!」


 そう言い放つとタツキの眼前にハルバードが現れた。それを素早く取り一振りする。


「ヨシッ……手はず通りいくっ!」


 タツキはそう言いクレイとハクリュウを順にみたあと、ハルバードを構え直してからデブピエロ悪魔を見据えた。

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