194話~誤算と疑問
ここは南側の祭壇より少し離れた場所。
あれからハクリュウは、ひたすらデブピエロ悪魔へ攻撃を続けていた。
デブピエロ悪魔はハクリュウに攻撃され姿が変形して来ている。……まるでスライムのようだ。まだ原型をとどめているだけに中途半端で見た目が気持ち悪い。
現在ハクリュウは宙に浮き次の攻撃の準備をしていた。
「ハァハァハァ……まだか」
「うむ……だが、かなり効いている」
「ああ、シェルギオス。だけど……あのデブの怪物がこのままやられてくれる訳ないよな」
そう言いながらハクリュウは大剣を構え直しデブピエロ悪魔を見据える。
「その可能性はある……用心した方がいい」
そう言われハクリュウは、コクッと頷いた。その後、デブピエロ悪魔へと向かい攻撃していく。
攻撃を受けるもデブピエロ悪魔は反撃をする様子もなく、ただ体の形状を変えているだけである。
「効いてるのか? なんの反応もしなくなった」
「形状を変えているようだ」
「……そうみたいだな。どうする? 形状を変えてるってことは……今のうちに、なんとかしとかないとまずいよな」
そう言いながらハクリュウは、デブピエロ悪魔との間合いをとった。
「その方がいいだろう」
シェルギオスはそう言うと、デブピエロ悪魔を見据える。
それを聞きハクリュウは頷き大剣を持ち直した。
《白龍聖W斬り!!》
そう叫ぶとハクリュウは剣先をデブピエロ悪魔へと思いっきり突き刺す。その後、素早くWの形に大きく斬っていった。そして斬った切り口は、Wの形に光っている。
もしかしたら倒せるかもしれないとハクリュウは思った。だがその直後、デブピエロ悪魔の傷口は塞がってしまう。
「……クソッ、いけるかと思ったのに」
「そう甘くはないってことだ」
「ああ、そうだな。仕方ない、考えてる余裕ないし」
そう言いながらハクリュウは、再びデブピエロ悪魔を攻撃していった。
――場所は、神々の塔に移る――
ここは最上階層にある異空間漂う部屋。辺りには数多くもの映像が無造作に映し出されていた。
そしてここにはラミアスが居て名もなき城でのことをみている。その近くでは、ホープが檻の中からその様子をみていた。
「流石は、タツキね。仲間との連携プレイは見事でした。ですが……あのクレイ・マルスは意外な存在。確かシェルズ城で召喚されたはず」
そう言いラミアスは、クレイが映る画面をみる。
「召喚主は、どんな言葉を空白に埋め詠唱したのでしょうか?」
そう言い少し考えたあと再び口を開いた。
「クレイの魂の色は、以前この世界に来たクレイ・ディオンと同じです。ですが、なぜ文字が浮かび上がっているのでしょう?」
ラミアスは不思議に思い首を傾げる。そうなぜか【智】の文字が刻まれていた。
「普通であれば文字など刻まれて召喚されて来ません。という事は特別な存在なのでしょうか。そうはみえませんが……」
そう言いラミアスは思考を巡らせる。そして、その後も映像をみながら考えていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます