192話~作戦開始と最悪な妄想

 ここは南側の祭壇。


 あれからクレイは、ガインと巨大な銃剣を引き剥がし破壊する方法をタツキに教えていた。


「なるほど……確かに、その方法なら」


「ああ、せやけど…… もっと早う対処しとったら楽やったやろうな」


「そうだな。だが、まだ間に合うんだろ?」


 それを聞きクレイは、コクッと頷く。


「間に合う……ってことで、ちゃっちゃとやらなな!」


 そう言いクレイは、メニュー画面を開き必要な装備に着替える。それは、緑色の重装備だ。だいたいこの装備を身に付ける職業は、バトルマスターなどの格闘系である。


「もしかして……まだその装備しかないのか?」


「悪かったなっ、本職はランサーやさかいな!」


「そうだったな。それにしても……相変わらず、凝ってる。一つの装備を、どんだけ強化するつもりだ? それに、かなり改造されてるし」


 タツキはそう言い、ジト目でクレイをみた。


「前にも言うた思うけど。徹底的に拘らな気ぃすまへん性格やねん」


「そうだったな。じゃあ相当……強化してるんだろうな?」


「フッ、当たり前や。ちゅうか……相手のステータス確認できるんやから、みたらええんちゃうんか」


 そう言われタツキは、クレイのステータスを確認する。


「…………」


 それと同時にタツキは、何も言えなくなった。


「クレイ……確かその装備って、レア装備じゃないよな? 防御が……十万越えてる。それに、魔法耐性までMAXって……」


「勿論や。普通装備かてな……強化の仕方次第じゃ、ここまで強なれるんやで」


「なるほどな。攻撃力の五十万越えって……どうやったんだ?」


 そう言いタツキは、ジーっとクレイをみつめている。


「そら、企業秘密や。それよりも……ええ加減やる」


 そう言いクレイは、ピラミットのような物を二個アイテムボックスから取り出す。


「魔力吸引装置か……」


「ああ……ここで役に立つとはな。まあ、造っといてよかったってこっちゃ」


 クレイはそう言うと、二個の魔力吸引装置を巨大な銃剣の真下の床に間隔を開けて置いた。


 それを確認するとタツキは、ハルバードを構え巨大な銃剣を見据える。


「準備はええか?」


 そう言いクレイは、身構えるとガインと巨大な銃剣をみた。


「いつでも、大丈夫だ!」


 それを聞くとクレイは駆けだす。


 それをみてタツキは、翼を羽ばたかせ宙へ浮き上がる。そして、ハルバードを構え直すと巨大な銃剣に狙いを定めた。



 ★☆★☆★☆


 ここは名もなき城の南に位置する外側。

 あれからユウは、もうスピードで走り息を切らしながらここまでくる。


「ハァハァハァ……居ない? なんで…………ノエルはどこだ!」


 そう思いながら辺りを見回した。

 どんなにみてもノエルは、どこにも居ない。


(ハクリュウの妹も居ない。それにあの男バルムも……。まさか、攫われたんじゃっ!?)


 そう思いユウは、かなりエロい……いや、最悪なことを考え頭を抱える。


(あの男に、あんなことやこんなことを……されてるんじゃ……。ハッ、確か……シェルズ城がどうとか言ってた。

 だけど……どうやって行けばいい? タツキさんなら、知っているかも。どうしよう……待った方がいいか……)


 そう自問自答しながらユウは、中庭のある方をみていたのだった。

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