190話~光明と苦戦と迷惑な召喚と
ハクリュウはデブピエロ悪魔の下唇に必死でしがみつきながら、どうしたらいいのかと考えていた。
だが、気が動転しているせいか思いつかない。
ましてやそんな状態では、シェルギオスの声など聞こえる訳もなく。
デブピエロ悪魔は、更に吸い込む威力を上げる。
「クソッオォォォー……」
それに耐えていたがハクリュウは、デブピエロ悪魔の唇から手を離してしまった。
「ハクリュウー!!」
ハクリュウにしがみつきながら、シェルギオスはそう叫んだ。
デブピエロ悪魔に吸い込まれた瞬間ハクリュウは、咄嗟に大剣をデブピエロ悪魔の口腔の下部へ突き刺した。
「グエェェエエエー……」
余りの痛さにデブピエロ悪魔はそう叫ぶと、ハクリュウを勢いよく吐き出す。
吐き出されハクリュウは大剣を握りしめたまま地面に落下する。
「グハッ!!」
地面に叩きつけられハクリュウは血を吐いた。そして口についた血を拭ったあと、胸を押えながら大剣を杖替わりに立ち上がる。
その後デブピエロ悪魔を睨みつけた。
「ハァハァ……クソッ……」
「ハクリュウ、あれほど油断するなと言ったはずだ!」
そう言いながらシェルギオスは、ハクリュウを睨んだ。
「そうだな……ごめん。次から気をつける……」
「ああ……それに、もっと冷静になれ」
そうシェルギオスに言われハクリュウは、申し訳ないような表情で頷いた。
「ああ、それにゆっくり話してる暇はないみたいだ」
そう言いハクリュウは、大剣を構え直すと宙に浮く。その後、デブピエロ悪魔との間合いをとる。
デブピエロ悪魔の口からは、ドロドロした気色の悪い黒っぽい液体が流れ出ていた。そうハクリュウに刺されたせいである。
「シェルギオス……もしかして、このデブの化け物の弱点……内側なのか?」
「そのようだな。だが……そうそう、口を開けるとも思えんが」
「確かにそうだな……じゃあ、攻撃を続けて口が開いたら技をぶち込む」
それを聞きシェルギオスは、ニヤリと口角を上げ頷いた。
「それはいい考えだ! だが、いつ口を開けるか分からんがな」
そう言いハクリュウは、大剣を構え直すとデブピエロ悪魔へ狙いを定める。と同時に、デブピエロ悪魔へと向かっていった。
★☆★☆★☆
その頃タツキは、何度も何度もガインが持つ巨大な銃剣へと攻撃を試みる。しかし、多少亀裂が入るも破壊できない。
「ハァハァハァ……クソッ! 自分が考えたものだっていうのに……」
”タツキ、それだけ完璧だったという事だ”
「いや……完璧じゃなかったはずだ。アレは……足りない物だらけだったからな」
そう言いタツキは、銃剣を見据えた。
”だが、それを造った者がいる。……タツキ聞くが……アレを完成させるのに、この世界の者でも可能か?”
「どうだろうな。この世界の物で補うのは困難だ」
”そうなると……もし、他世界の物がアイテムを提供したら?”
それを聞きタツキは、なぜかクレイ・マルスの顔が浮かんだ。
「……いやいやいやいや……流石にない。確かにクレイは、シェルズ城で召喚された。でも……アイツに限って、手を貸すはずはない」
”断言できるのか?”
「それは……できない。んー……そうだな……ここに呼ぶか?」
そう言いタツキは、ブルーシャギオスに問いかける。
”呼んでも構わぬが……どうする気だ?”
「確認する……いや、それだけじゃない。物つくりに関してクレイは天才的なんでな」
”そういう事か……これをどうすればいいか聞くって訳だな。まあ、駄目でもそれに賭けるしかないか”
それを聞きタツキは、コクリと頷いた。その後、急ぎメニュー画面を開きフレンド呼び出しをタッチする。
その後、クレイ・マルスと書かれた場所を選んだ。
すると目の前に魔法陣が現れて、スッとクレイ・マルスが現れた。
クレイ・マルスは目の前にタツキが居たため、なんとなく呼ばれた意味を理解する。
「何やらす気や?」
そう言いクレイ・マルスは、ジト目でタツキをみていた。
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