182話~シャギオス ハルバード

 ここは中庭にある南側の祭壇。未だにガインの能力のエネルギーにより揺れは続いていた。


 あれからユウは、南西側の出入口からノエルが居る外へ向かう。


 一方ハクリュウは、眼前のガインをみている。


「シェルギオス、すんなりこの武器をガインから引き剝がせるのか?」


「どうだろうな……今の状態を見る限り武器を破壊したとしても、ガインこの者の命は保障できぬ」


「そうか……だけど、このままにしておけない」


 そう言いハクリュウは身構えると、再びガインを見据えた。



 ★☆★☆★☆



 片やタツキは空中から、デブピエロ悪魔を挑発している。……って、おい!?


「おいおい、どっちをみている。そんなにハクリュウの方が気になるのか?」


「ダマレ……オマエト……ハナシヲ……シタク……ナイ……」


「そんなこと言うなよ。折角、お前に提案してるんじゃないか……本体に戻ったらどうだってな。それとも、嫌な理由があるのか?」


 そう言いタツキは、デブピエロ悪魔を見据えた。


「……アバレ……タリナイ」


「ならなぜ、俺を避ける?」


「カチメ……カイム。イマノ……ワレ……デハ……ムリダ」


 それを聞きタツキは、ジト目でデブピエロ悪魔をみる。


「フゥ〜、また振り出しに戻ったな。これを、いつまで続けるつもりだ?」


 “ タツキ、話にならん。いい加減、倒したらどうだ?”


「ブルーシャギオス、倒すのは簡単だ。それに、このブラグジオスの分身は話せば分かるはず」


 それを聞きブルーシャギオスは溜息をついた。


 “ 相変わらずだな。まぁお前は……いざという時、非情になれる。それは以前、立証済みだ”


「クッ……ああ、そうだな……」


 そう言うとタツキは、俯き下唇を噛んだ。


 タツキは嫌な過去を思い出してしまい、つらそうである。


 そうこうしてる間にもデブピエロ悪魔が待ってくれる訳もなく、ハクリュウの方へ向きを変え動き出した。


「……!?」


 それに気づきタツキは慌てて攻撃体勢に入る。


「クソッ、やっぱ倒さないと駄目なのか」


 “ タツキ、当然だ。アレはブラグジオスの分身だが、本体と全くの別もの。それにブラグジオスアイツも、それを望んでる”


 そうブルーシャギオスに言われタツキは頷いた。


「そうだな。やるか……」


 そう言いタツキはデブピエロ悪魔を見据える。そして両手を目の前に翳した。


「こいっ! シャギオスハルバード!!」


 そう叫んだ。すると、翳した両手の前に魔法陣が展開される。その魔法陣は発光して、そこから青い色のハルバードが現れた。それをタツキは、両手で掴んだ。


 それと同時に、シャギオスハルバードを振り回してみる。流石は戦闘センス抜群のタツキだ。その扱いは、様になっている。


 元々ゲームでは様々な武器を扱ってきた。そのためなのかもしれないが、特に見た目だけでもカッコいい。


「シュウが使っていたのをみていただけだが……思っていたよりも、軽いな」


 そう言いタツキは、手に持つシャギオスハルバードを見据えた。


 “ ほう、シュウよりも扱いがいいな。これは……楽しみだ”


「どうだろうな……実際、どこまで使い熟せるかは分からない」


 タツキはそう言ったあとデブピエロ悪魔をみる。


「さてと、無駄話してる暇はなかったな」


 タツキはそう言いデブピエロ悪魔に剣先を向ける。


 そしてその後タツキは、シャギオスハルバードを持ち直し体勢を整えるとデブピエロ悪魔を見据えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る