181話~魂の色と疑問

 ここは中庭の遥か上空。そこにはブラグジオスが居て中庭の様子を伺っていた。



 ――ここからは、龍語で話していると思ってくださいませ――



 ブラグジオスは明らかに暇そうである。


「うむ、我はどうすればよい。ドラゴンの世界に戻ればいいのだろうが、このまま帰るのもつまらん」


 そう思いながら辺りを見渡してみた。


(それにしても、なぜだ。我だけ、こんな扱いをされなければならない。それもそうだが、我の証を所持するのに相応しい者は誰なんだ)


 そう考え城の周囲をみる。その後、世界中を見回した。


「……考えても分からぬ。まあ良い、そのうち分かるだろうからな」


 そう言いブラグジオスは再び中庭へと視線を向ける。



 ★☆★☆★☆


 ここは中庭の南側の祭壇付近だ。


 あれからハクリュウはユウと話していた。その後、ユウに言われタツキの方をみる。


「か、かっこいいぃぃぃー!! 俺も空飛びたい」


「ハクリュウもそう思うよな。いいなぁ……二人共」


 そう言いユウは、ジト目でハクリュウをみた。


 ハクリュウはそれを聞き苦笑する。


「……無駄話はそのぐらいにしろ。状況が、みえない訳ではあるまい」


 そうシェルギオスに言われハクリュウとユウは、真剣な表情になり頷いた。


「そうだな……ハクリュウ、この白いドラゴンの言う通りだ。じゃあ、俺はノエルの所にいく」


 ユウはそう言い南側の出入口をみる。


「待て! お前は、シュウの縁者か?」


 そうシェルギオスに言われユウは、不思議に思いながらも頷いた。


「ああ、兄だけど……知っているんですか?」


「なるほどそうか……魂の色が同じだったのでな。もしやと思ったのだ。うむ、だがなぜだ。シュウの縁者で同じ魂の色……それなのにブルーシャギオスの証を所持できない」


「待ってください。もしかして、そのブルーシャギオスって……タツキさんの証のですか?」


 そうユウが問うとシェルギオスは頷く。


「その通りだ。ふむ、何かがおかしい」


「召喚された祭壇で違うんじゃ?」


「ハクリュウ、それならクロノアの件はどう説明する?」


 そうシェルギオスに聞かれハクリュウは考える。


「さっき魂の色がどうとか言ってたけど……それと関係ないのか?」


 ハクリュウがそう言うとシェルギオスは首を横に振った。


「今までならそうだった。だが、どうなっているのか分からん。黒の魂を持つクロノアが資格を……ブラグジオスの証を失った」


 そう言い一呼吸おき再び話し始める。


「タツキは昔と変わらず白だ。それなのにブルーシャギオスの証を授かっている」


「ちょっと待って。タツキさんが白の魂なら、俺はいったい?」


 ハクリュウは自分の魂の色も白なのかと気になりそう問いかけた。


「いや、お前の魂は虹色だ。それも今までその魂を持った者は、この世界に来たことがない」


 そう言われハクリュウは困惑する。


「ハクリュウが虹色で、それも珍しいか。さっきシュウの魂の色と同じって言ったよな?」


「ああ、そうだ。お前は、シュウと同じ青の魂。本来なら、ブルーシャギオスの証を手に入れられたはず」


「クッ……そうか……」


 ユウは悔しい表情を浮かべた。


「ちょっと待ってください。さっきの話だと、シュウさんの縁者だからって言ってたよな?」


 そう言いながらハクリュウはシェルギオスをみる。


「そうだが……それがどうした?」


「んー……ノエルはどうなんだろうって、思ったんだけど」


「ハクリュウ、ノエルとは……誰だ?」


 そう聞きシェルギオスは周囲を見渡した。


「ノエルは、俺の妹です」


「ユウの妹か……それならば、同じはずだ。しかし、なぜ同じ魂の者がこの世界に……」


 そう言いシェルギオスは困惑する。


 そしてその後ハクリュウとユウとシェルギオスは、いつまでもこうしていられないと思いあとで考えることにした。

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