180話~ユウ妬む
……――少し時間は遡る。ハクリュウが倒れた直後、ユウはそれをみて咄嗟に駆け付けた。
倒れているハクリュウをユウは覗きみる。
(体が光ってる……これ、もしかして……よくアニメとかにあるヤツだよな。覚醒とか何かが憑りついてる時とか……こんな場面あったような気がする)
そう考えたあとユウは、ガインへ視線を向けた。
「……コイツ、大丈夫か? このままだと死ぬよな。んー、助けてやりたいけど……今の俺じゃ無理だろうし」
そう言いユウは、ガインに向け手を合わせる。そして「ごめん」と言い頭を下げた。冷たいと云うか優しいのか、どっちなのか分からない性格のようだ。
「ハクリュウは、大丈夫だよな。別に苦しんでる訳じゃない……でも、一応ここに居よう。タツキさんに……言われたし」
ユウはそう言うと祭壇に腰かけた。
少しの間、ユウは色々と考えていたがハクリュウの異変に気づき立ち上がる。
「……起きるのか?」
そう言いユウはハクリュウを見据えた。
一方ハクリュウは、徐々に目覚める。と同時に、ハクリュウの装備が変化していく。
「うわあぁぁあああー……」
そう叫びハクリュウは、頭を抱え起き上がり空を見上げた。すると激しく発光する。
そして光が落ち着くとハクリュウは、白きドラゴンの装備を纏っていた。……だが、これは完全な形態ではない。
「ハクリュウ……普通にカッコいい」
そう言うもユウは、羨ましそうにハクリュウをみる。
ハクリュウは立ち上がるとユウの方をみた。
「ユウさん、なんでここに? 確かミリアを攫っていったはずじゃ」
「おいっ、人聞きの悪いこと言うな!! 外に避難させてやっただけだろう」
「そうですね……ありがとうございます。だけど、本当にユウさんですよね?」
そう聞かれユウは、ハクリュウの言いたいことが理解できず首を傾げる。
「当たり前だろ! さっきから、お前は何が言いたいんだ」
「いえ、いつもより喋るなぁっと思ったので」
そう言われユウは、周囲を意識してしまう。
「あー……そうだ、な。えっと……ハハハ……」
ユウは急にモジモジし始めた。
「もしかして、わざと意識しないようにしてたんですか! じゃあ俺、余計なことしちゃいましたね……ごめんなさい」
そう言いハクリュウは頭を下げる。
(……わざとか? いや……いつものだろう、天然失礼発言。んー、やっぱり納得いかない……なんで俺だけ魔王として召喚されたんだ……)
そうこうユウが考えていると、チビドラゴン化したシェルギオスはハクリュウの肩に乗った。
それをみたユウは、ジト目でハクリュウをみやる。
「俺も……そう云うの欲しい」
それを聞きハクリュウは、なんて答えたらいいか戸惑い額から一滴の汗が流れ落ちた。
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