176話〜ドラゴンの言い争い

 要らんと言われそうだが……現在、名もなき城の中庭で起きていることのおさらい――……


 城全体は、未だにガインの能力のせいで激しい揺れが続いている。ブラグジオスのエネルギーでの揺れは、既にない。それでも、この揺れは増す一方だ。


 城の中庭にある南側の祭壇では、ガインがひたすら能力を自分のものにしようと必死に堪えている。だが、余りにも膨大なエネルギーに耐えられなくなっていた。


 その目の前には、ハクリュウが頭を抱え蹲っている。そうシェルギウスの能力の一部を授けられるも、体に馴染むまで時間がかかっていたのだ。


 その北東側にはユウがデブピエロ悪魔と戦っていた。


 その近くでは、タツキがブルーシャギオスの能力を自分のものにするため堪えている。


 そして中庭の真上には白と黒と青のドラゴンがいた。



 ★☆★☆★☆



 ここは中庭の真上、遥か上空である。そこには三体のドラゴンが睨み合っていた。



 ――ここから龍語だと思って読んでくださいませ――



 ブルーシャギオスは、シェルギオスとブラグジオスを嫌な顔でみている。


 片やシェルギオスとブラグジオスは、なんでコイツがここに居るんだと思いブルーシャギオスを睨んでいた。


「なぜお前が、ここに居る? それもリュウ……いや、タツキの守護龍とはどうなっているのだ!!」


「シェルギオス、そんなことは我にも分からん。だが……相変わらずシェルギオスはリュウキが好きだな。いや、今はタツキだったか」


「お前たち、いい加減にしないか。いや、ブルーシャギオス……我らをみるなり喧嘩を吹っ掛けるのは良くないと思うのだが」


 そう言いながらブラグジオスは、ブルーシャギオスをジト目でみる。


「ブラグジオス、お前は黙っていろ!? 余計に、ややっこしくなる」


「黙っていられる訳がない。ブルーシャギオス、なぜそこまでシェルギオスを嫌うのだ?」


「いや、ブラグジオス……お前のことも嫌いだ」


 そうブルーシャギオスに言われブラグジオスは、ガーンっと落ち込んだ。


「確か以前は、シュウの守護龍だったな」


「ああ、シェルギオス。そうだが、何を言いたい?」


「いやな、お互いの位置関係だよ。我が守護するハクリュウとお前の守護するタツキのな」


 そう言いながらシェルギオスは、ブルーシャギオスを見据える。


「……なるほど。お前が言いたいことは、自分が主力だと……そういう事か。くだらん……何を張り合っている」


「フンッ、そう言いつつも顔色が変わっておるぞ」


「なぜ……我が、そんなことで……動揺しなければいけない!!」


 そう言いブルーシャギオスは、シェルギオスをギロリと睨んだ。


 その後も三体のドラゴンは、下の状況などお構いなしに言い合いをしていたのだった。

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