174話~理由説明

 ここは名もなき城の中庭。そして南側の祭壇より北東だ。


 現在タツキの目の前にはユウが、ムスッとした表情で立っている。


 そんなユウをみてタツキは、額に汗をかきたじろいでいた。


「どういう事ですか? こっちは非常事態なのに!!」


「悪い、だが……これは、お前にしか頼めないことなんだ」


 そう言いながらデブピエロ悪魔を指差す。


 ユウは何を言いたいのかと思い、タツキが指差している方をみる。と同時に驚き、一歩後退した。


「アレッて、なんなんですか!?」


「上をみろ」


 そう言われユウは、見上げてみる。


「……ドラゴンが二体……えっ、えぇぇえええー!?」


 ユウは更に驚いた。


「ああ、黒いドラゴンの分身だ。訳を話すと長くなるんだが、聞くか?」


「いや……この状況で、流石に長いのはまずいでしょ。見る限り……さっきより、かなり悪化している。なので、できれば簡単にお願いします」


 それを聞きタツキは、これまでの経緯となんでユウを召喚したのかを簡単に説明する。


「そういう事かぁ。じゃあ、俺があの巨大ピエロの相手をすればいいんですね」


「ああ、そうだ。その間、俺は青きドラゴンを召喚する」


「分かりました。倒してもいいですよね?」


 そう言いユウは、ニヤリと笑みを浮かべた。


「倒せればな。だが、恐らく無理だ」


「根拠は?」


「ブラグジオスの分身だからだ」


 そう言いながらタツキは、ブラグジオスをみたあとデブピエロ悪魔へ視線を向ける。


「なるほど……でも、やってみないと分かりませんよね?」


「……随分と自信があるようだな。まぁいい、だが無理はするなよ」


「そうですね……。流石に、そこまでは馬鹿じゃないですから」


 タツキはそれを聞き頷いた。


「そうだったな。まぁ、これがハクリュウなら……無理をする」


「確かに……だけど、タツキさんもドラゴンの証を授かってる。俺は……」


「ユウ、気持ちは分かる。だがそのことについては、ラミアスに聞かないと分からない。今は……こっちを頼む」


 そう言いタツキは、ユウを真剣な眼差しでみる。


「……利子は高くつきますよ」


 ユウはそう言いデブピエロ悪魔の方を向いた。


「ああ、そうだな」


 そうタツキが言うとユウは、デブピエロ悪魔の方に向かい駆け出す。


 それを確認するとタツキは、目を閉じ深呼吸する。


(これでいい。あとは、ブルーシャギオスを召喚するだけ。だが……なんで、青きドラゴン。そもそも、大丈夫なのか? 魂の色と違うドラゴンを召喚しても……。

 なんか変だ……前とは、明らかに違う。何かイレギュラーが起きているとしか思えない)


 そう思いながらタツキは空を見上げた。

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