172話〜異変と一方的な指示

 ここは神々の塔の最上階にある異空間のような部屋。ラミアスは相変わらず、タツキの様子をみている。


 しかし、近くにある映像からブラグジオスの能力が感じられなくなり首を傾げた。


「これは、どういう事かしら?」


 そう言いその画像を自分の前に移動させる。


「んー、誰も居ないわね。それに、ブラグジオスの……。あら、シェルギウスが映ってる方に居ます。ですが、これはどういう事でしょうか?」


 ラミアスは何が起きているのか理解できず困惑した。


「クロノアは、クレイと外に出たみたいですね。それに、クロノアからブラグジオスの能力が感じません」


 何が起きているのかと考え始める。


「……考えても分からないわ。そうね……ハクリュウだけでも大丈夫かしら?」


 そう言うとハクリュウが映る画像をみた。


「……ブラグジオスの分身、あの得体のしれない武器。それを一人で……流石に無理でしょう。そうですね……今、すぐに動けるのはタツキしかいませんか」


 ラミアスはタツキが映る画像に視線を向けた。


「青きドラゴン……なぜ、白い魂を持つタツキが。その意味が、分かりません。しかし、その紋章を得たのですから……余り気が進みませんけれど仕方ありませんね」


 そう考えがまとまると水晶の方へと移動する。




 ここは名もなき城の中庭。その南側の祭壇よりも北東よりの方角付近だ。


 タツキは自分の持ってるスキルを色々と駆使して、デブピエロ悪魔の進路を妨害している。


 現在、タツキはデブピエロ悪魔と対峙していた。


「ジャ……マ……ダ……」


 そう言いタツキを見下ろす。


「それはそうだろう……わざと邪魔をしてるんだからな」


 タツキはそう言い、ジト目でデブピエロ悪魔をみる。


「ナラ……フミ……ツブス……ダケダ」


「フッ、できるもんならしてみろ!!」


 そう挑発されデブピエロ悪魔は、タツキを踏みつぶそうとした。


 それをみたタツキは、ニヤッと口角を上げ後退し回避する。


 デブピエロ悪魔は避けられ余計に向きになり、更にタツキを踏みつけようとした。


 それを難なくタツキは避けていく。


(少しずつだが、遠ざかってる。だが……クロノアは、どうした? まだ能力を解放……)


 そう思いながら空を見上げる。


「……」


 タツキは絶句した。


 そう、なぜかブラグジオスがシェルギウスと一緒に居るからだ。


(どうなってる? クロノアは……)


 そう考えているとラミアスの水晶が発光していることに、タツキは気づいた。


「ラミアス……このタイミングで」


 そう言うとタツキは、ラミアスの水晶を手にする。


「何かあったのか?」


「ええ、予定外のことが起きました。クロノアが、資格を失ったようです」


 それを聞きタツキは、顔を引きつらせた。


「そういう事か。それで、ブラグジオスは暢気にシェルギウスと話をしている」


「そうみたいですね。それでなのですが、急遽タツキにお願いしたいのです」


「なるほど、俺にブルーシャギオスを召喚しろと」


 そう言いタツキは、ジト目でラミアスの水晶をみる。


「そうなります。……では、お願いしますよ」


「ちょ、待てっ! ……光が消えた。まぁ、いいか……まさかここで召喚することになるとはな」


 そう言いタツキは、自分の左手の甲に視線を向けた。

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