165話〜ラミアス、もう一人の存在に気づく〜
ここは名もなき城。
ブラグジオスと南側の祭壇のガインにより城全体が激しく揺れている。
そんな中、東側の広い通路ではデブピエロ悪魔が魔法を使い壁を破壊した。すると壁と天井が、ガラガラ、ドサドサと、大きな音を立て崩れ落ちる。
デブピエロ悪魔は、ノソノソと音も立てずに破壊した壁から中庭へ向かい歩き出した。
その光景をみてクロノアとタツキとクレイは、まだ身動きがとれずどうしたらいいのかと考える。
(どうする? いまだにブラグジオスは元の大きさになっていない。そうだなぁ。恐らく、俺がここにいなくても問題ない。ってことは、二人にあとのことを任せても大丈夫だろう)
そう思いタツキは、このあとの行動をクロノアとクレイに伝えた。
「分かった。ここは俺とクロノアでなんとかする。気にせずあのデブ悪魔を追わんかい」
「うん、その通りに行動すればいいんだね。こっちは大丈夫、心配しないで追ってください」
「まぁ……大丈夫だろう。このあとの行動は伝えたしな。じゃ、任せたっ!!」
タツキは一瞬、不安になる。だが、この二人なら大丈夫だと思いデブピエロ悪魔の方に向かい走る。
それを確認するとクロノアとクレイは、ブラグジオスの方に視線を向けた。
場所は神々の塔の最上階にある、異空間漂う部屋に移る。
ラミアスは、タツキが映る画像を食い入るようにみていた。
「やはりタツキには、状況を把握し全体を纏めあげる力がありますね」
その様子をみていたホープは、呆れた面持ちになる。
「ラミアス様。他はみなくていいんですか?」
「そうねぇ、他の場所の様子も確認しておく必要はあるわね」
そう言い他の場所の画像を見始めた。するとラミアスは、城の外の森を映している画像に人影がみえ目の前に移動させる。
「あら、可愛い兎さんね。ですが……これは異世界の者の魂の色。それに、この世界にかつても訪れている」
更にラミアスは、その兎の格好をしている者をじっくり調べた。
「クスッ、そうあの子なのね。姿が変わったから、誰だろうと思いました。今回は、綺麗な容姿に大胆なスタイルと服……っと、そんなことよりも。いったい誰が、彼女を召喚したのですか?」
そう言いながらラミアスは、ホープに視線を向ける。
ホープは「知りません」と言い、ブンブン大きく首を横に振った。
「妙ですわねぇ。祭壇が他にもあったのでしょうか? それとも新たに祭壇を造ったのかしら。そうだとしても、それだけの魔力と知識がある者でなければ、容易く造れないはずです」
そう思いながらラミアスは、部屋全域に散らばる画像を無作為にみる。
「異世界の者を呼び出せる者。それから現段階で、召喚をしていない召喚魔術師。そうなるとテリオス・ブラック、アキリシア・グレイの二人が有力だけど。あと数名いたはず……」
一呼吸おき、無表情のまま再び口を開いた。
「まぁ、しばらく様子をみていても問題ないでしょう。それにタツキは、あの子のことが好きだったはず。ですので、自ずと分かると思いますしね」
その後、再度タツキが映る画像に視線を向ける。
それからラミアスは、画像に映るタツキの様子を穴があくほどみていたのだった。
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