166話〜悩み決断し実行

 ここは名もなき城の東側の広い通路。


 辺りは激しく揺れ轟音が鳴り響く。


(どこへ向かっている?)


 そんな中タツキは、そう思いデブピエロ悪魔のあとを追いかけた。




 場所は東側の広い通路から、中庭にある南側の祭壇へと移る。


 ガインは能力にのまれないようにひたすらこらえていた。だが、つらくて涙目になっている。


(……クッ、まだまだ……。だが……クソッオォォォー、体がもたねぇ。だけど今更、能力を解除できない……)


 そう考えながら、なんとか能力をコントロールしようとした。


「ウワァァァァァーー!!」


 全身に引き裂かれるほどの激痛が走る。


 それをみたハクリュウは、このままじゃ助からないと思い悩む。


(……まだなのか? このままじゃ……だけど、)


 そう思考を巡らせながら、手の甲に描かれたドラゴンの紋章に視線を向ける。以後、空へと目線を移した。


(どうしたらいい……。これ以上みていられない。他に何か、救う手段はないのか?)


 そう考えガインの方に視線を戻す。




 一方その頃__ここは、神々の塔の最上階にある異空間漂う部屋。


 ラミアスはタツキの様子をみたあと、南側の祭壇が目下どうなっているか気になり、自分の前にハクリュウとガインが映る画像を移動させた。


「思っていたよりも、ガインの能力が急上昇している。これは早めた方が……ですが、」


 そう思いながらハクリュウに視点を合わせる。


「……魂がぐらついている。まさかとは思いますが……。この様子では、私の指示を待たずに動く可能性がありますね」


 無表情のまま「どうしましょう」と言い思考を巡らせた。


「そうねぇ。ドラゴンの能力を使わず、どこまでできるかもみたいですし。それに時間稼ぎにもなります。という事で、ここは様子をみることにしましょう」


 そう言いラミアスは、そのままハクリュウの様子を観察する。




 地点は戻り、ここは名もなき城の南側の祭壇。


 ハクリュウは、みているのがつらくなっていた。


(いくら敵でも、目の前で苦しんでいるヤツを、ただみているだけって……。クソッ、駄目だみてられないっ!!)


 常に慎重、冷静に行動するハクリュウ。けれども、流石に眼前で生じていることに対し堪えられず苛立っている。


「もう限界だ。こんな状況、我慢できるわけないっ!!」


 そう思い背中の大剣を抜き構えた。


(コイツが持ってる武器をどうにかすれば……)


 すかさず大剣の刃先を左下斜めに向け構え前屈みになる。と同時に、大剣を眩い光のオーラが包み込む。


 《剣聖奥義 隕石斬りっ!!》


 そう言い放つと、大剣を右斜め前に素早く振り上げた。すると、流星のように光り輝くオーラを纏いし鋼の刃がガインの持つ銃剣を襲う。


 大剣の鋭く重い刃と銃剣を覆う魔力の塊とが衝突し合い、バチバチと激しい音を立てる。


 だがハクリュウは、ガインの持つ銃剣の威力に押されて弾き飛ばされた。そして祭壇の上に落ち、全身を思いっきり強打する。


 当然ながらガインの持つ銃剣は無傷だ。


(おいおい……コイツ、何を考えてる!? だがこのとんでもない力、いったいなんなんだ?)


 ガインは、ハクリュウがなんのために銃剣を狙い攻撃したのか理解できず疑問に思う。だが、自分自身の能力の凄さにも驚き戸惑っていた。


「クッ、イタタタタ……」


 痛いながらも、なんとか起き上がり祭壇に腰掛ける。


(クソッ、やっぱ、無理だったか。だけど……あの技が駄目、なら……どうする?)


 そう思いながら、メニュー画面を開き【技・魔法】をタッチした。


 するとステータス画面に、ソードマスターの技名がズラッと表示される。


(剣聖奥義は他にもあるけど、さっきの技の方が威力がある。そうなると……んーこれしかないけど、できれば使いたくない。でもなぁ……)


 それからその後ハクリュウは、ああでもないこうでもないと模索していたのだった。

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