159話〜ラミアスの思惑①
ここは大陸の北東側の海岸沿い。そこから北側の位置に塔がみえる。その建物が【神々の塔】だ。
その塔はかなり古いためか、茶褐色の壁が至るところ崩れている。雲を突き抜けるほど高く、何階層まであるのか数えるのが困難なため分からない。
因みにこの塔を好きこのんで登ろうとする者などはいない。と言うよりも、以前いたらしいが戻ってきた者は皆無。そのため、この世界の者は近づかないのだ。
それに【神々の塔】と言われているだけあって、余程の用がない限りよりつかない。
だがこの世界以外の者にとっては、ここで試練を受け乗り越え、この塔の管理神である女神ラミアスから認められなければならないのだ。
そうここは、別名【試練の塔】とも言われている。
この塔の遥上空にある最上階には、誰も入れない厳重に封印された部屋がありそこには何もない。
いやないのではなく、まるで宇宙のような雰囲気の空間が部屋全体に広がっていた。そう部屋というよりも異空間、そんな感じの場所だ。
周囲は薄暗い、広い部屋の中央に微かに人影がみえる。そこにはこの塔の管理神、女神ラミアスがいた。
姿形は人間に似ている。だが、肉体はなく透けている精神体だけの存在だ。
床につくほど長い紫色でウエーブの髪。優しい顔立ちだが無表情である。
ラミアスは、この部屋の中央の台座に設置された大きな水晶の前に立っていた。
「クスッ、タツキは相変わらずのようですね。では、そろそろと行きたいのですが……」
表情を変えずそう言い両手を水晶にかざす。すると、眩い光が水晶から発せられ全体を覆う。それと同時に部屋全体に水晶の光が放たれた。
部屋は一瞬の内に変わり、シェルズ城で起きてることを至る所に映し出す。
ラミアスは水晶から離れると、ある映像の所まで移動する。__その場所までくると無表情のまま考え込む。
(ユウか、魔王として召喚されし者。そして灰色の勇者ノエルの兄。……二人の魂の色は同じ。兄妹なら当然なのでしょう。
ただかつて、
そう思いながら天を見上げ一点をみつめ考え込む。
「まぁそのことは、あの二人がここにくれば分かることですね」
その後、別の映像へと移動しようとした。だが、ふとあることを思い出し一箇所の映像だけ別の場所を映し出す。
そうそこは、とある場所の厳重に封印された書庫。現在、神以外の存在はその場所に足を踏み入れられない。
「ホープ。やはりそこでしたか」
ラミアスはそこに映るホープをみるなり両手をかざす。その後、神の言葉で呪文を唱える。すると画像が光を放った。
その時、ボンッと画面からホープが飛び出し宙を舞うと床に落下する。
ホープは一瞬、何がなんだか分からなっかった。そして床に座ったまま何が起きたのかと思考を巡らせる。
見た目は子供でラミアスと同じ精神体。虹色の髪でウルフカット。ラミアスと違い表情は豊かだ。
今の状況を把握しようと周囲を見回した。すると眼前にラミアスの姿があり、状況を把握する。そして、まずいと思い逃げようとした。
だがラミアスは、即座にホープが逃げないように厳重な檻に閉じ込めた。
「さて、どうしましょうか。クスッ、ねぇホープ……」
そう言うと無表情のままラミアスは、口角を上げニコリと笑みを浮かべる。因みに本人は、普通に笑っているのだが無表情なだけに怖い。
それをみたホープは、余りの怖さに顔を引きつらせていた。
(まさか、僕の居場所が特定されるなんて。流石ラミアス様だけど、この状況どうしよう)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます