155話〜場所移動と状況把握

 ここは南側の祭壇。ガインの能力により、未だに轟音と激しい揺れが続いている。


 先程までカプリアは、バルムの配下の者たちと戦っていた。だが、ガインが能力を使った直後お互い危機感を覚える。


 その後バルムの配下の者たちは、数名ほどこの場から逃げ出す。残っている者たちは、恐怖で動けず逃げられなかった。



 現在カプリアは、この状況をどう凌げばいいのかと模索している。


「うむ。悠長に考えてる余裕もなさそうじゃな。だが、だとしてどうこの場を打開する?」


 この場の状況に対してどの策がいいのか思いつかず焦り始めていた。


 そう色々と模索していると目の前に大きな黒豹が現れ一瞬だけ驚く。だが、眼前にいる黒豹が誰であるのかわかった。


 その黒豹の真下に魔法陣が描かれると人型へ姿を変える。


「ほう。やはりアリスティアか。だが、なぜここへ?」


「はい、実は――」


 そう言いアリスティアは、なぜここに来たかを説明した。


「な、なんとっ!? この状況下で、もしかしたら東側の通路でチビ悪魔が、か……」


「ここは私が残ります。ですのでカプリア様は、」


「そうじゃな。だが、アリスティアがここに残って何ができる?」


 そう問われアリスティアは周囲を見渡したあと首を横に振り俯く。


「恐らく大したことはできないと思います。ですが、いないよりはましかと、」


「うむ。そうだろうが。……それならば、お前もくればいい」


「そうですね。ただここでみているよりも、」


 そう言い頷きカプリアをみる。


 そして、その後アリスティアとカプリアは、急ぎ東側の通路へと向かった。




 一方その頃ノエルは、この場をどう切り抜けるか考えながら、ふと何気なく自分の方に向かいくるクレイをみる。


「……!?」


 だがそれと同時に、クレイの姿が残像と共に消えた。それをみたノエルは、ビックリし絶句する。


(……いったいにゃにが……)


 次々に自分の目の前で起こることに対してノエルは、わけが分からなくなり混乱してしまう。




 片やクレイはというとタツキにより東側の通路になぜか転移させられていた。


「はあ? こら、どうなってる。確か俺は、」


 そう思いクレイは、今の状況がのみ込めず困惑する。



 そうほんの少し前にタツキは、テレポートのカードを使いクレイがいる南側の祭壇より東側に転移した。


 その後クレイを背後から抱きかかえると、無理やりこの東側の通路へと一緒に転移して来たのだ。



 クレイは混乱していたが、何が自分に起きたのかと辺りを見回してみる。


「クレイすまない。今は詳しい話をしている暇がない。黙って手を貸して欲しい」


 そうタツキに言われクレイは、目の前にいる者が誰なのかと思い疑いの目でみた。だが、ふとその声に聞き覚えがあり、もしやと思い問いかける。


「まさか、リュウキか? 姿もステータス画面のキャラ名もちゃうが。その声と口調、覚えがある」


 そう聞かれタツキはコクリと頷いた。


「ああ、そうだ。だが今は、」


「タツキってわけか。そうやな今は、確かに理由を聞いてる暇はなさそうや」


 クレイはそう言うと目の前で起きていることをみて、なんのためにここに連れてこられたのか大体のことを把握する。



 そうチビ悪魔たちが一箇所に集まり融合し巨大化しようとしていたのだ。



 クレイは巨大化しようとしているチビ悪魔を険しい表情でみやる。


「で、俺は何したらええんや?」


 そう問いかけられタツキは、今からしようとしていることを説明し始めた。

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