154話〜真実を知る者
「ーーその武器は、か、」
瞼を閉じタツキは、淡々と説明し始めた__
その武器は【
片方は柄が長く大きい刃との間に龍と髑髏の飾りが施され、もう一つの方は柄が短く小さめの刃との間に龍と天使の飾りが施されている。
元いた世界の約二年前、この世界での約二百年前に、この聖天闇冥の鎌をタツキのメインアバターであるリュウキが所持していた。
リュウキが元の世界に戻るとその武器をゲームの中でクレイ・マルスに譲り渡す。
その聖天闇冥の鎌は、この世界に存在するシェルズ城の結界を解く鍵の一つである。
そして、ディアナが持つ黒魔石の腕輪も鍵の一つだ。
__リュウキは、目をゆっくり開くと一点をみつめる。
「俺は、もうこのシェルズワールドにくることがないと思いクレイにあの武器を譲った。……だが、そのせいでクレイがこの世界に、」
「そうかもしれないけど。でもタツキさんは、こうなることを予測してたわけじゃない。それに、今はそのことよりも、」
「確かにクロノア様の言う通りです。それよりも、話を聞いていて疑問に思ったのですが、」
一旦頭の整理をしたあとハウベルトは、真剣な面持ちで再び口を開いた。
「シェルズ城の結界を解く鍵となる物は、その二つだけなんですか?」
「いや、鍵は全部で六つある」
すると話し声で目を覚ましたゲネスがそれを聞き驚く。
「ちょっと待てっ!? 鍵が六つだと……。三つじゃないのか?」
そう言いながらゲネスは、縄が解けないかとモゾモゾするが魔法で固定されていて無理だと思い断念する。
「ゲネスっ! お前が、なぜ鍵について知っている?」
そうハウベルトに聞かれゲネスは一瞬黙り込む。だが、どうせシェルズ城に逃げ戻っても、口封じに始末されるだけだと思い話し始めた。
「……隠してもしょうがねぇしな。シェルズ城の結界を解く鍵の話は以前、ニック様から聞いて知ってた。確か昔、なんかの書物を読んだって言ってたが」
「ニック……ニック・ソルトか?」
その話を聞きタツキは、険しい表情でゲネスへ視線を向けるとそう問いかける。
すると、ゲネスは「ああ、そうだ」と言い頷いた。
「タツキ様は、そのニックとかいう者のことを知っているのですか?」
「知っているのは名前だけだがな。とある家系の者を探すため、辿りついたのがソルトの姓だ」
そう言うと遥か遠くを難しい面持ちでみつめる。
「まぁ俺が探してた家系はまだ残っていたが、ほぼ表舞台に立っていない。それで色々と探ったところ、ソルトの姓が浮かび上がってきた」
「なぜ探していたのです? それに、」
「悪い。まだ裏付けがとれてない。だが、そいつがシェルズ城に加担しているとなると……」
続きを話そうとしたがタツキは言うのをやめた。
(もし過去の因縁が、まだ続いてるとするなら……)
「やはり言わない方がいい。過去の二の舞いだけは踏みたくないからな」
「それはどういう事ですか? 過去にいったい何が、」
ハウベルトは不思議に思いそう問いかける。
「……あのことか。我もあの時は、」
ブラグジオスはそう言いかけた。だが今その話をされるとまずいと思ったタツキは、咄嗟にブラグジオスを捕まえ手で口を覆い塞いだ。
それをみたクロノアとハウベルトとゲネスは、なぜ隠そうとするのか疑問に思った。
だがクロノアは、ふと
(もしかして……。タツキさんが、本当にあのリュウキさんなら。希愛が言ってたあのことを隠そうとしてるのかな?
そうだとして、なんで隠すんだろう)
そう考えたが聞かない方がいいと思い声には出さなかった。
「……何を隠そうとしているのかは分かりませんが。今、そのことを聞いてる場合でもありませんし。それよりも、増え続けるこのチビ悪魔を、」
ハウベルトはそう言いながら、ディアナを心配な面持ちでみやる。
「そうだな。早くこの状況をなんとかしなければ、」
そしてその後タツキは、この状況を打開するための、ある提案をするのだった。
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