152話〜耐えるガインに危惧するノエル
ここは中庭の南側にある祭壇。
ガインが発動させた能力により、周囲は轟音と共に激しく揺れる。
南側の祭壇より北西側にいるハクリュウは、再びガインの様子をみた。
すると、さっきまでいたはずのレオンの姿がみえない。
「レオンがいないっ! いったいどこへ?」
どこかにいないかと辺りを見回す。だが、探すもレオンの姿はない。
(
危険を察知してレオンは、この場を離れたと思った。
そうハクリュウが思った通り既にレオンは、バルムの配下の者たちと交戦しながらも南南西側の出入口に向かい脱出していたのだ。
(多分大丈夫だと思うけど……心配だ。でも、ごめんレオン。今は、ここを離れるわけにいかない。なんとか切り抜けてくれ)
そう思いレオンの無事を祈る。そして、再びガインの様子を伺っていた。
場所は戻り、ガインはというと……。膨大な力が体に流れ込み負担がかかるも、どうにか能力を使いこなそうと必死に耐えている。
「クソッオォォォォー……」
(……も、もたねぇー。いや、いやいやいやっ! 駄目だ、駄目だ。ここで耐えねぇ、と……)
歯を食いしばり耐えるも、その力により持ち堪えることが困難。だが、どうにかしてこの能力を自分の物にしようと必死だ。
ノエルは危機感よりも、大丈夫なのかと思い心配そうな表情でガインをみていた。
(このままじゃ、この人。考えたくないけど……死、ううん。消滅しちゃうんじゃにゃいの?)
そう思うとゾクっとする。
「ねぇ、その能力。……使いこにゃすの無理にゃんじゃにゃいの? 凄く辛そうにみえるんだけど」
「グッ、だ、黙れっ、うるさいっ! お、お前に心配なんかされたぐな、い……」
ガインは、かなりやせ我慢をしていた。本音を言えば、もう無理だからこの能力を放棄して逃げ出したかった。
だが、この能力を使いこなせれば認められ、自分もあの方と一緒に研究ができると思い耐えているのだ。
(あの方は俺ならできるとこの能力を授けてくれた。なのにそれに答えられないなんて、あり得ねぇ。大丈夫、やれる……だが、クソッオォォォ……)
その表情をみてノエルは、なんとか助けなければいけないと思った。
(どうしよう。でも、考えてる余裕がにゃい)
そう思い今の状況で自分が使える技を確認する。
(やっぱりこの職だと、ろくにゃ技やスキルがにゃい。あんまり育ててにゃかったからにゃぁ~)
ハァ~と溜息をつくと何気に東側と北側をみた。
「ゲッ!! 黒豹とクレイマルスにゃん……だけじゃにゃく、ユウ兄までもこっちに来てる! それもにゃんか体格のいい女と……」
タラっと汗が頬を伝う。
(だけど、これって……。クレイマルスにゃんはともかく。ユウ兄がこっちに向かってるってことは、にゃんとかにゃるかも。
ん? そういえば、ハクリュウにゃんは……)
ノエルはハクリュウがいる北西側を向く。と同時にジト目でみる。
(ハクリュウにゃんがこっちみてる、けど動かにゃい。にゃんで? ……)
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