151話〜困惑し揉める
ここは名もなき城。
儀式自体は、阻止することができた。しかしながら、ハクリュウ達を始末するためにシェルズ城の者たちが中庭に現れ戦況が一変する。
中庭では、ガインがまだ完成していない能力を使おうと発動した。だが余りにも強大な力により、必死に制御するもやっとだ。
その頃中庭がみえる東側の広い通路では、ディアナが未だにチビ悪魔を召喚し続けている。
ハウベルトは、なぜこんなことになったのかと、ディアナをみつめながら考えを巡らせていた。
(昔もこんなことがあった。確かにあの時は大変だったが、カプリア様のおかげでチビ悪魔を……。
ん? そういえばあの時、カプリア様は黒魔石のペンダントに封印してたはず。
それに、もともとそこに封印されていたとも言っていた気がする。
という事は、もしかしてカプリア様はこのことを知っていたというのか。あの方は、どこまでのことがみえているんだ?)
そう思いながらカプリアがいる南側の祭壇があるであろう方角の壁をみつめる。
場所は移り、ここは中庭の西南西側。クロノアは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔でタツキをみていた。
タツキは必死で理由を話しクロノアを説得している。
「……えっと。タツキさんだっけ? それで、あのリュウキさんで……。今の姿がサブキャラ。……ちょ、ちょっと待って。頭が……」
いきなりタツキがリュウキだと言われて、どういう事なのか状況がつかめず混乱していた。
「マリース……いや、クロノア。困惑するのは分かる。だが、今は詳しく説明してる暇はない。さっきも言ったと思うが、」
「う、うん。私のことはハクリュウから聞いたんだったね。そんでもって、その得体の知れない生き物が、」
そう言いながら漆黒の魔龍ブラグジオスを指差す。
「我は得体の知れない生き物ではないっ!!」
ムッとしたブラグジオスは、短い脚に渾身の力をこめて「トリャアァー」とクロノアの顔に蹴りを入れる。
「イタッ、ごめん。だけど、どうみても龍にはみえない。それに、チビ悪魔にされたって言われても。……どうみたって、翼が生えた黒いチビピエロだし」
「おい、
顔を引きつらせながらジト目でタツキをみた。
「ああ、間違いない。それに正式な証ではないがドラゴンの紋章もある……だろ」
そう言いタツキもまた顔を引きつらせている。そうまさかマリースが、クロノア以上に厄介な性格をしていたとは思わなかったからだ。
その後タツキは、クロノアとブラグジオスを言いくるめ納得させると、なんとかその場をおさめた。
そしてタツキとクロノアとブラグジオスは、チビ悪魔をどうにかするために東側の通路へと向かう。
その話を側で聞いていたクルフは、クロノア達のあとを追ったのだった。
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