133話〜嫌な予感

 ここは中庭がみえる広い通路。カルテットは、いまだに起きずチビ悪魔を出し続けている、ディアナを難しい顔でみていた。


(どうしたらいい? さっきあの男がチビ悪魔を消し飛ばしたはずなのに、なぜかまた新たに召喚している。

 このまま放っておけば、恐らく増え続けるだろう。いや、それだけじゃすまない。

 ある一定数になれば……。これはあくまで推測にすぎないが、多分一箇所に集まって巨大化する。だが、それを阻止するにも方法が、)




 一方シャナは、ドルマニールとミスティを監視しながらカルテットの方をチラッとみる。


(どうしたのでしょうか? 難しい顔で考え込んでいるようにみえます。……気になりますが、ここを離れるわけにもいきません。どうしたら……)


 そう思うもシャナは、二人が目覚め拘束を解き逃げるかもしれないと思い、この場を離れることができなかった。




 その頃中央の祭壇から南東に位置する場所では、いまだにハウベルトとテリオスが言い合いを続けている。


 だがその時、とてつもなく嫌な感覚がハウベルトとテリオスを襲った。と同時に言い合いをやめ、シャナ達がいる広い通路の方をみる。


「確か、この嫌な感覚は……」


「ハウベルト。これはもしや、でもまさか……いやあり得る。確かあの場所には、ディアナがいたはずだ」


 そう言い二人は顔を見合わせると青ざめた。


 二人の側にいたアリスティアも、今まで感じたことがないほどの嫌な感覚に襲われる。


「……この感覚は、いったいなんなんだっ!? 確かあの場所にはシャナ達がいたはず。あそこで何が起きている?」


 アリスティアは急に妙な胸騒ぎがしてきた。


 そして、もしかしたらシャナ達の身に何かあったのではと思い、広い通路の方に向かおうとする。


「アリスティア待て!」


 そう言いハウベルトは、アリスティアの左腕を掴み静止させた。


「なぜ止める!?」


「もしそうだとしたら、それを阻止するにはカプリアの力が必要になる」


 そう言うとテリオスは、カプリアがいる南側の祭壇の方に視線を向ける。


「ええ。ですが、現在カプリア様は敵と交戦中。となると容易には……いや、そうか。俺がカプリア様と入れ替われば」


「なるほど、そういう事か。それならハウベルトよりも、私が向かった方がいいだろう。それに、あの場にはノエル様がいる」


「アリスティアとカプリアが、か。それも、いいかもしれん。そうなると、俺とハウベルトはここでゲネスを見張っている」


 テリオスは少し考えたあと再び口を開いた。


「申し訳ないがアリスティア。そのままディアナの元へと向かってくれと、カプリアに伝えて欲しい」


 それを聞きアリスティアは、軽く頭を下げ南側の祭壇の方を向く。そして、カプリアがいる南側の祭壇へと駆けだす。


 それを確認するとテリオスとハウベルトは、周囲を警戒しながらゲネスを見張る。


 そして二人は、ディアナ達がいる広い通路をチラチラみながら、間に合ってくれと願っていたのだった。

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