124話〜南側の祭壇〜ターゲットと憂慮(ゆうりょ){☆}

 ここは名もなき城の中庭。そして、中庭の南側に設置された祭壇がある場所。


 ノエルとミリアとカプリアは、水晶をのぞきホープの話に耳をかたむけている。


 するとバルムと数十名の配下の者が、突然ノエル達3人の目の前にあらわれた。


「フッ、女か。強い力をかんじ、こっちにきてみたが。これじゃぁ、まったく張りあいがねぇな」


 バルムはそう言いガッカリした。


「いきにゃり、あらわれたと思ったら。にゃんでガッカリしてるにゃ!!にゃんか、ムカつくんだけど!」


 ノエルはバルムをにらみ付けた。


「まぁいい。こっちに向かってきてる奴らがいる。そいつらの方が強そうだ。そうなると、まんざらハズレってわけでもなさそうだな」


「ちょっと待って!それって、もしかしてハクリュウじゃ!?」


 そう言いミリアは、おそるおそる見渡してみる。すると北西の方角に、ハクリュウとレオンの姿があった。


「うむ。ハクリュウとレオン王子が、こっちに向かっているようじゃな」


 カプリアは、ハクリュウとレオンの方に視線を向け。


 ノエルは無言のまま、ハクリュウとレオンをチラッとみると、再びバルムと目をあわせた。


(ハクリュウが、こっちに来てる。だけど、にゃんだろう?ハクリュウの方だけじゃにゃく、反対側も気にしてるみたいだけど。……)


 そう思いながらノエルは、北東の方をチラッとみる。するとクレイとアキリシアとイワノフが、こっちに向かってきていた。


(……えっと。あれって、クレイマルスにゃんだよね。それと、あとの人たちって誰にゃのかにゃ?)


 バルムは腕をくみ考えていた。


(なるほど。あんなに探してもみつからなかったクレイが、こんなとこにいるとわな。

 それも、こっちに向かってきている。これはまちがいなく大当たりだ!

 まぁこの女どもの始末は、手下にまかせても問題ないだろう。

 そうだなぁ。クレイはあとのお楽しみってことで。まずはレオン王子と一緒にいる、クレイよりも弱そうなアイツを先に倒すか)



 この時バルムは、ハクリュウの能力を見誤っていた。そうハクリュウは、この世界のことが分からないため、わざと装備や能力を低く設定していたのだ。



 そしてバルムは、配下の者たちに指示をだすと、ハクリュウの方へと向かう。


 それをみたノエルはバルムめがけ叫んだ。


「ちょっと。さっきから、にゃんにゃのよ!」


 そう言いノエルはバルムを追いかけようとした。


「ノエル様、お待ちください!」


 カプリアはノエルの右腕をつかみ引きとめた。


「カプリアにゃん!?にゃんで、とめるにゃ?」


「ノエル様。おそらくあの者は、かなりの使い手です」


「見ればそのぐらいわかるにゃ!だから、ハクリュウが心配にゃのにゃ〜!」


 そう言いノエルは、カプリアの手を振りはらい、ハクリュウのもとへ行こうとする。だがミリアは、その言葉を疑問に思い、ノエルを引きとめた。


「待ってノエルっち。なんでハクリュウが心配なの?」


「それは、えっと……。あっ!そうそう。ミリアにゃんも知ってると思うけど。ハクリュウはいつも、ギリギリまでホントの力を使わにゃいから……にゃ」


 ノエルは少し顔を赤らめながら言った。


「なんと!それは、まことか?それが本当なら、あのエルフの男を甘くみて、手加減せねば良いが」


 そう言うとカプリアは、ハクリュウの方へ視線を向けた。


「だから、それが心配にゃんだってば!」


「そういえばハクリュウは対人戦だと、滅多なことがない限り、いつも本気で戦ってなかった気がする」


 ミリアは急に心配になり、ハクリュウの方をみた。


「うむ。ハクリュウ様のことが心配ではある。しかしながら、この者たちを倒さなければならないかと」


 カプリアはそう言い、バルムの配下の者たちを見まわす。


 するととバルムの配下の者たちは、既にノエル達を囲んでいた。


「確かにそうだね。仕方にゃい。倒すしかにゃいにゃ!」


 ノエルはバルムの配下の者たちをみると、即座に両手にナイフを持ち構えた。


「うん!そうだね。この人たちを倒さないと、ハクリュウのとこにいけないし」


 ミリアは、素早くメニュー画面をひらき、装備を確認すると、ムチを持ち構え。


 そしてカプリアは、水晶を持ち身構えながら、この場の様子をうかがっていた。


(ノエル様とミリア様が、どこまでこの者たちと渡りあえるかはわからぬ。

 だがここは、2人にまかせ、下手に動かぬ方が良いな。……まぁ流石に自分の身は守るがのう)


 すると緑メッシュがまばらに入った青い髪のエルフの男が、ノエル達をみて気だるそうに口を開いた。


「ケッ、女3人かよ。バルム様の命令じゃ、しょうがねぇか。だがまぁ、強そうな奴が1人いるみてぇだし良しとしねぇとな」


 そう言いエルフの男は、仲間に指示を出すと、銃を構えノエルに照準を合わせる。


 ノエルは、それをみてナイフを持ち直し、エルフの男をにらんだ。


「おもしろい。受けてたつにゃ!」


 そう言いノエルは、エルフの男が持つ魔弾銃の銃口をみている。


 そしてミリアとカプリアは身構え、他のバルムの配下の者たちの動きを警戒していた。

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