112話〜テリオス王子とゲネス{☆}
ここは名もなき城の中庭。あの後グロウディスはアリスティア達の後を追い合流していた。
ノエルがいる儀式の祭壇まであと少しの所まで来ていたが、ニックの配下の者であるゲネス・ビートとその手下数名に囲まれ行く手を阻まれていた。
「うひょ〜、こりゃ面白れぇメンツが揃ってやがるぜ!それに運よく、こっちにはクレイがいる。お前とは一度、戦ってみてぇと思ってた」
「相変わらずけったいな髪型やなぁ。どうやったら片側だけ刈りあげることが出来るんや?」
そう言われゲネスはクレイを睨みつけた。
「クッ、ほざけ!」
そしてゲネスは、黒が混じった銀色の髪をなびかせながら、クレイ目掛け回し蹴りをした。
クレイは瞬時に鎖鎌を出し投げると、迫りくるゲネスの足に鎖を巻きつけ、すかさず地面にたたきつけた。
「頭だけやのうて動きも単純らしい」
「クソッ!クレイよくも……。俺はなぁ、お前が城にいた時から大嫌いだったんだよ。いかにも頭がいいですって態度がよ!」
そう言いながら足にまとわりつく鎖鎌の鎖を解いていた。
「クレイマルス。お前、記憶が戻った途端、話し方だけじゃなく、雰囲気も変わったな」
「ああ、アリスティア。まぁこれがほんまの俺なんやけどな」
「なるほどな。それはそうと、こいつらをどうするかだが?」
テリオスがそう言うとゲネスはその声に驚き顔を見た。
「……ひえっっ〜!な、何でここにテリオス王子がいる!?」
そう言いゲネスの顔が、みるみると青ざめっていった。
「やあ、久しぶり。確かお前は、デューマンのみで形成された騎士団の元団長ゲネス・ビートだったな」
「テリオス王子が、覚えてくれていた!こ、光栄です」
そう言いつつも何故かゲネスの唇は震え顔色が更に青白くなっていた。
「ああ覚えているよ。お前が犯した数々の罪もな。……悪いこいつの処分は任せてくれないか!」
「それは構わないが。こいつの手下の者たちはどうするつもりだ」
「アリスティア。こら役割を分担した方がええやろうな」
そう言いクレイ達は周りを警戒しつつ話し合った。
そしてテリオスとアリスティアがここに残り、クレイとイワノフとアキリシアとグロウディスはノエルがいる儀式の祭壇へと向かった。
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