111話~敵現る{☆}
ここは名もなき城の中庭。ハクリュウはリュウキの事をレオン達に話した後、ユリナがどうなったのか気になり、ノエルがいる儀式の祭壇の方へと視線を向けた。
するとノエルは起き上がっていて、そこには水晶を持ったカプリアとミリアがいた。
「これってどうなってるんだ?何でここにミリアがいる!」
そう言われクロノアは気になり、ノエルの方に顔を向けた。
「あっ!ホントだ。ノエルも起き上がってるし助かったみたいね。ん?ねぇ、ユリナがいないみたいだけど?」
そう言いクロノアは不思議に思い首を傾げ、ハクリュウとレオンとその場にいる者たちもユリナを探すため辺りを見回した。
「そいえば、さっきノエルの側で爆発したと思ったら、ユリナがミリアの姿へと変わったように見えたんだけど」
「……ん~、何が起きたか分らないけど。俺にもそう見えた」
そう言いハクリュウが考えていると、
「ここで考えていても無駄に時間が過ぎるだけなのでは?」
「うむ。確かにマキシムの言う通りだ。ここはあちらに行き確認した方が早いだろう」
レオンがそう言うとハクリュウ達は頷き、ノエルの方へ行こうとしたその時、黄色まじりで緑色の髪のヒューマンの女が5人の前に立ちはだかった。
「あら~、何処に行くのかしら?ねぇ、あたしと遊びましょうよ」
このヒューマンの女はクルフ・シナモンと言い、ニックの配下の者だ。
そう言いクルフは、鎖鎌を振り回し勢いをつけると、ハクリュウの方へと投げつけた。
「ちょっ、待て!」
そう言いハクリュウは、盾を出すと瞬時にかざし、迫りくる鎌を弾きかわした。
「あらら、これをかわしちゃうのね。まあ勇者様ならこのぐらい、かわせて当然よねぇ」
「おい!なんなんだお前は?何で俺を狙う。それに勇者様って……他にもいるだろうが!」
そう言うとハクリュウはクロノアを指差した。
するとクロノアはハクリュウの顔を見るなり、
「あのねぇ。前々から思ってたんだけどさぁ。私をなんだと思ってるのかな?」
「そうだな。猛獣……」
「猛獣って……あー頭来た!!!!!」
そう言うとクロノアはハクリュウに杖を向け攻撃しようとした。
「あのなぁ。お前、今のこの状況わかってんのか?」
それを見ていたレオンとローレンスとマキシムはハクリュウとクロノアを止めようとした。だが、クロノアは杖を構えクルフの方を向くとそのまま後ろにとび、
「あーもう。……分かったわよ。私がやればいいんでしょ!」
「そういう事。俺はレオン達とノエルの所に向かう。クロノアくれぐれも、やり過ぎるなよ」
「了解。約束はできないけどね。気をつける。てかハクリュウこそ、慎重すぎてレオン達に迷惑かけないようにね」
そう言いクロノアはすかさず杖をクルフの方に向けた。
そしてハクリュウはそう言われ苦笑し、クロノアが攻撃体勢に入った事を確認すると、レオン達とノエルがいる祭壇へと向かった。
するとクロノアはクルフを見て、
「ふぅ……さて、やりますか」
「ふう~ん、女ねぇ。なーんだ……どうせ戦うなら、かっこいいお兄さんの方が良かったのになぁ~。それに強そうだったしぃ」
そう言いながらクルフは徐々にクロノアとの間合いをつめて来ていた。
「あっそう。悪かったわね女で!」
そう言いクロノアはクルフを警戒しながら間合いを取っていた。
(相手の職は分らないけど。鎖鎌を使うって事は、少しでもとどく範囲から遠ざかった方がいいよね……)
(魔導師ねぇ。……距離を取られると厄介だけど。思ったよりこの女、あたしの動きをよく見てる。さて、どうしようかしら)
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