107話〜瞬殺{☆}

 タツキはドルマニールと戦っていた。


 先程まで、神々の塔の女神ラミアスにより時が止められていた。


 そしてラミアスは、水晶を通じタツキに指示を出すと時を戻した。


 すると、ドルマニールが放った黒いステッキがタツキの目の前まで来ていたが、瞬時にその攻撃をかわした。


「悪い。もう少し遊んでいたかったんだが、事情が変わった」


「事情?何をわけの分からない事を言っている」


 ドルマニールはタツキのその言葉を警戒し身構えた。


 タツキは身体の重心を落とすと、即座に刀の鞘を左手で持ち横に向け左斜め前に構え、


 《秘剣 旋風一文字!!》


 ドルマニール目掛け、刀を横に素早く鞘から抜き一閃すると、風の斬撃を放った。


「ま、まずい!?」


 ドルマニールはその攻撃をかわそうとした。だがその瞬間ドルマニールの背後にタツキが現れた。


 すると、タツキはすかさず刀を構え直し右斜め上に斬りつけた。


「クッ……先の攻撃は囮りおとりだったか……」


 そう言いドルマニールは膝をつき前に倒れ動けなくなった。


「ああ、そういう事だ!さて、後は……」


 そう言いタツキはドルマニールを見下ろした後、ミスティ、シャナ、カルテットの順に見まわした。


(すぐにユウの所に向かわねぇと。だが、預かった手紙を、シャナに渡すのが先だ)


 タツキはシャナの方へと近づいていった。




 ミスティは、黒薔薇とシャナを警戒しながら、タツキとドルマニールの戦いを見ていた。


「ドルマニールが、こんなあっさりと……やられるなんて」



 シャナは、ミスティの動きを監視していたが、タツキとドルマニールの戦いを目の当たりにし、


「攻撃が……いえ動き自体、速すぎて見えませんでした。やはり、タツキは……」



 カルテットはディアナを起こそうとしていた。


 だが、場の雰囲気が急に変わった事に気づき、タツキとドルマニールの方に視線を向けていた。


「いったい何が起きた!?まさか!いや、でもどうやって?」



 そして、その動きをとらえる事が出来ずシャナ達3人は、タツキがどう攻撃したのかと思考を巡らせていた。

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