番外⑵‥❻〜伝説の装備

 あれから麻里亜と希愛は頻繁にこのゲーム内で会うようになっていた。


 数日が経ち、麻里亜と希愛はゲーム内に設置されているベンチで話をしていた。


「そういえば。マリース《麻里亜》はギルド入らないの?」


「ギルドかぁ〜、色々と人間関係が面倒だし、ソロでもいいかなぁって思ってる。」


「そっかぁ、私はワイワイやるのが好きなんだよね。マリースはソロのがいいのかぁ。じゃ、無理だね。」


「無理って、何が?」


「実はね。フレが新しくギルド作ったんだけどね。今メンバー探してて、私も誘われてさぁ。それで、マリースもどうかなぁって思ったんだけど。ソロがいいんじゃ仕方ないかぁ。」


「クロノア《希愛》、ごめん。それに、人間関係が面倒なのもあるんだけど、まだレベル低いっていうのもあるんだよね。皆に迷惑かけたくないしさぁ。もしギルド入るにしても、もう少しレベル上げてからかなぁ。」


「そっか。私と違い色々と考えてるんだね。」


「そういえば、クロノア。この前知り合ったフレから聞いたんだけどね。このゲームには、伝説の装備があるらしいよ。」


「伝説の装備?へぇ〜そんなのがあるんだねぇ。」


「うん、そうらしいけど。未だに誰も手に入れた事がないらしいよ。」


「誰も手に入れた事がないって、どういう事?」


「そのフレの話だとね。ある一定の条件をクリアし、尚且つ最高レベルと最高ランクに登りつめた者のみが、手にする事が出来るらしいんだけど。その一定の条件が何なのかが、公表されていないらしいんだよね。」


「なるほど。それで、その伝説の装備の名前って、公表されてるの?」


「確か、公表されてるって言ってたと思うけど。」


「そっか、名前知りたいんだけど分かるかな?」


「その装備のシリーズ名が、黒龍で……ん〜なんだったかなぁ。あーそうだ!確かダークエンブレムだったはず。」


「ふ〜ん、ダークエンブレムかぁ。如何にも厨二的な名前だねぇ。」


「確かに。でも、ゲームだしいいと思うけど?」


「そうだね……そっか、伝説の装備かぁ。そうなると、その装備手に入れたくなるね。」


「クロノア?まさかとは思うけど、本気で手に入れるつもりなの?」


「ん?そのつもりだけど。」


「そうなんだね。私は多分無理だと思うし、目の前の事をクリアして行くだけで精一杯だしね。」


「そっか。ん?そういえば、黒龍装備シリーズって言ったよね?」


「うん、そうだけど。」


「シリーズって事は職業と関係するって事かな?例えば、私は魔導師だから、それに関係した職業を全部クリアするとか?」


「ん〜、どうなのかな?そこまでは分からないけど。」


「そっかぁ。そうなると、とりあえず魔法職を全部マスターしといた方が良いのかも。」


「クロノア?全部マスターするって……えっと、それって凄く大変なんじゃ。」


「そうだねぇ。無謀だけど、やって見る価値はあると思う。全部マスターするのに、どの位時間かかるか分からないけどさぁ。それに目標があった方がゲームも長続きすると思うしね!」


「そっか、私も何か目標みつけた方がいいかな。ん〜、そうだな。じゃ、私の目標はとりあえずレベル150に上がる事からかな。」


「マリースは、意外と慎重だね。攻撃は雑だけど。」


「えっと、クロノア。意外とって……まぁいいか。あ、そろそろ買い物行かないと。今日の夕飯のおかず無かったんだった!」


「あらら、ん〜私もコンビニで何か買ってこようかなぁ。」


「じゃ、ごめん落ちる。またね〜。」


「うん、またねぇ。」


 そして、2人はログアウトすると家を出て、それぞれ違う場所に買い物に行ったのだった…。

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