66話〜爆弾3個=威力大

 その頃アリスティアとシャナは、近くで部屋の壁が崩れた事に気がつきその瓦礫の山を調べ始めた。


 そしてアリスティアは調べながら、


「これは、ここで何があったんだ?」


「アリスティア。まるでわざと、ここだけ破壊して出口を塞いだ感じがするのですが」


「ん〜、そうなるとこの部屋の中に誰かが閉じ込められている可能性はある。ただ、この中に閉じ込められているのが、敵か味方かが分からない」


「確かにそうですねぇ。ん〜影鼠を使い中を調べてみてはどうでしょう?」


「それは名案だが……」


 そう話していると、その部屋の中から爆音が聞こえ、それと同時に瓦礫の山が破壊され、アリスティアとシャナは近くにいた為、爆風に巻き込まれそうになった。だが、アリスティアの咄嗟の判断で魔法でバリアを張り何とか回避した。


 すると、部屋の中から誰かが出て来るのが見え、アリスティアとシャナは警戒し身構えた。



 ……そして、数分前の事。グロウディスとディアナとテリオスは、出口を塞いでいる瓦礫の山をどう取り除くかを考えていた。


「さて、この瓦礫の山をどうするかだが」


「ん〜、私の召喚魔法でと言っても、この瓦礫を取り除く事は無理」


「そうだな。何かいい案があればいいのだが」


 グロウディスはそう言い考えていると、テリオスは何か思い出したように、


「あっ!そうそう。そういえば、バックの中に良い物がある」


 そう言うとテリオスはバックの中から取り出して見せた。


 するとグロウディスはそれを見て、


「テリオス王子!?何故そんな物騒な物を平気でそんなバックの中に入れておく!!」


 そうテリオス王子が、バックから取り出したのは小さな爆弾だった。


 そしてテリオスはその爆弾を持ち、


「何故と言われてもなぁ。さっき、地下を迷っていた時に、その辺にたまたま落ちていたので、もしかしたら何かの役に立つのではと拾っておいたんだが?」


「はぁ、テリオス王子。爆弾がその辺に落ちているわけがないでしょう。そもそも侵入者除けにワザと仕掛けておいたものなんじゃ?それに、何を考えているのですか。爆発でもしたらどうするのです。貴方は死にたいのですか!?それとも頭がおかしくなられたのですか?」


「ディアナ、そこまで言わなくてもいいんじゃないのか?だが、なるほど。だから、無造作に置かれていたのか」


 そう言うとテリオスは落ち込み、手に持っている爆弾を見ていた。


 グロウディスは少し考えた後、


「ディアナ、テリオス王子。ちょっと待ってくれないか、その爆弾いくつあるんだ?」


 そう言うとテリオスはバックの中を覗きながら、


「爆弾は3個あるが、どうするんだ?」


「テリオス王子。その爆弾を瓦礫めがけ投げつけ爆破しようと思ったんだがな」


「グロウディス。なるほど、それは名案だな」


「ただ威力が、どの位あるかなんだがな」


「それなら、ちょうど3個あるし1人1個を同時に投げるのはどうでしょう?」


「ディアナ、確かに名案だと思う。だが、もし仮に3個使ってダメな時はどうする?言い出したのは自分なのだがな。その事に今気づいた」


「ああ。確かに、その爆弾の破壊力がどれほどなのか分からねぇ。だが、ここでウダウダしていても埒が明かないと思うんだがな。それに、ディアナの言う通り1個よりはマシだと思うんだが」


 そう言うとテリオスとディアナは頷き、テリオスはグロウディスとディアナに爆弾を渡した。


 そして3人は同時に爆弾を投げつけると、瓦礫に当たり爆破した。だが、流石に3個も同時に投げつけ爆破させたので、威力がありすぎて瓦礫は粉々になった。


「これは流石にやり過ぎたみたいだな」


「ははは、確かにやり過ぎましたなぁ」


「はぁ、とりあえず出れそうなので良いのではないかと」


 そう言った後ディアナは出口の方から放たれているとてつもない殺気を感じとり、


「グロウディス、テリオス様。出口の方から脅威的な殺気を感じます」


「確かに、かなりの殺気を感じるな。いったい誰だ?恐らく出口の瓦礫を破壊した事で何者かがここに来たのだろうが」


「うむ、これは確認した方がいいと思うが、これが味方であったら大変だしな。もし敵だったならその時はその時だ」


 そう言うとテリオスは辺りを警戒しながら出口の方に歩いて行った。


 それを見たディアナは慌てて止めようと追いかけ、グロウディスは警戒しながら近づいて行った。



 一方部屋の外では、アリスティアとシャナが警戒し身構え、アリスティアは、既に攻撃体制に入っていた。


 そこへテリオスが部屋から出てきて、アリスティアは確認する間も無く攻撃しようとしていた。


 それを見たシャナとディアナは同時に、


「待って!?アリスティア攻撃しちゃダメェ〜!!!!」


「うわぁ〜アリスティア待て早まるなぁ〜!?話せばわかる〜攻撃するなぁ〜!!!!!」


 そう言うとアリスティアは我に返りテリオスを見て、慌てて攻撃を止めた。


「あっ、えっとこれっていったい。というか、申し訳ない。敵かと思いましたので」


「俺は別に大丈夫だが。それにしても噂以上のようだな」


「あっ、ええっとまだ私について変な噂でも?」


「いや変な噂というか、男以上に行動力があると聞いていたのでな」


 そう言われアリスティアは少し顔が赤くなり、それを見たシャナが、


「アリスティアどうしたのです?顔が赤いようですが、でも確かにどんな男の人よりも頼りになりますものね」


「シャ、シャナっ!?あのなぁ。はぁ、まあいいか。こんな所でこんな事をしていても仕方ないしな」


「そういえば、アキリシア様とユリナ様とクレイマルスはどうしたんだ?」


「グロウディス。途中までは一緒に戦っていたんだが、何処かではぐれたらしい」


 アリスティアがそう言いグロウディスが考えていると、少し遠くの方から爆音が聞こえ、グロウディス達は驚き身構え辺りを見渡した。

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