65話〜クレイマルスの本職は
そしてミスティは、クレイマルスとアキリシア目掛け数枚の呪符を投げつけ、
《我が命に従い出でよ スケルトン!!》
すると、数体のスケルトンが召喚され、クレイマルスとアキリシアを襲った。
クレイマルスは襲いくるその数体のスケルトンを剣で薙ぎ払いながら斬りつけ倒していたが、ミスティが呪符を使い、後から後からスケルトンが増え数が減る様子はなかった。
「クッ、このままではキリがない。アキリシア様、大丈夫ですか?」
そう言うとアキリシアは逃げながら、懐やバックなど至る所から大量のナイフや武器を取り出し無造作に攻撃していた。
「とりあえずなんとか。でも、これってかなりキツイし気持ち悪い。」
「さぁ、そろそろ降参した方が身のためよ。アキリシア様。そして、クレイ。しかし、記憶が無いって不便ね。ふふ、自分の本来の得意な武器すら忘れてるなんてね。」
そう言うとクレイマルスは戦いながら、
「はぁはぁ。ミスティ。それはどういう事だ?俺の本当に得意な武器って?……。」
そう言うと少し考え、クレイマルスはふと思いだし、
「ん?確か数本槍が倉庫の中に入っていたが。まさか!?」
「クレイマルス。倉庫ってどういう事?」
「アキリシア様。俺にも分かりませんが、さっきも話した画面を開いたら、そこに倉庫と書かれていて中には武器やら装備やら色々と入ってたんですよね。」
「それって、クレイマルスっていったい!?……。」
(まさかとは思うけど。クレイマルスって、奴らが召喚した異世界の者なんじゃ。だとしたら記憶が戻れば何か分かるかも……。)
アキリシアがそう言い考えていると、ミスティはその隙をつき間合いを取り、新たに違う数枚の呪符を取り出し投げつけ、
《我が命に従い出でよ グール!!》
数体のグールが召喚され、クレイマルスとアキリシアに襲いかかった。
クレイマルスは慌てて、とっさに少し長めの龍の飾りが施された槍を取り出し、
「この槍は……これにするか、何かしっくり手に馴染んで使いやすそうだしな。」
その槍を握るとクレイマルスは何故か頭に技名が浮かび上がり、その技を覚えているかのように身体が動いた。
そしてクレイマルスは槍を上で回したあと、刃を斜め下に向け構えると、
《極槍秘術 猛連打撃!!》
猛烈な槍の鋭い刃の連続攻撃がグールを襲い跡形もなく消えた。
(……いったい今のは何だったんだ?この槍を持った途端頭に幾つかの技名が浮かんだ。)
「ク、クレイ。お前、記憶が戻ったのか?」
「いや、悪いが記憶は戻っていない、が。何故か使えた。ミスティ。お前がヒントをくれたおかげでな。」
「クレイマルスって、ランサーだったの?」
「多分そうなんだろうな。だが、何故か思い出せない。」
「クッ、このままでは、ここであれを出すわけにはいかない。だが……。」
ミスティがそう言っていると、クレイマルスとアキリシアの後方から声がして、
「ミスティ!こんな所で何をやっている?時間が無くな……る、って、おいっ!何でここにクレイがいる?あんなに探しても見つからなくて諦めてたって言うのに。今になって……。」
ミスティとクレイマルスとアキリシアは、声のする方を見ると、そこには紫色の髪を後ろで軽く結んでいる男が立っていた。
そしてミスティはその男を見るなり、
「さぁねぇ。私にも分からないんだけど。恐らくアキリシア様と一緒って事は、勇者側にいるって事は間違いないけどね。」
「もう1人いたのか。それに、俺の事を知ってるみたいだが、お前誰なんだ?」
「ミスティ。これは、どうなってる?クレイは、ふざけているのか?」
「ベルモット。どういう経緯か知らないけど、クレイは記憶がないらしいわよ。」
「なるほどな。俺達から逃げた後、その間何かがあり記憶を無くしたってところか。まぁ記憶があっても無くても、恐らくクレイなら大丈夫だろう。このまま放置しておいてもな。ここから中庭迄は遠い。ましてや記憶があった時から方向音痴だった。それに、噂じゃアキリシア様もかなりの方向音痴って聞いているしな。」
「それもそうね。ここが片付いたらって事で。じゃ、クレイにアキリシア様。私達はこれで……。」
「待て!何処へ行くつもりだ!?」
「ふっ、クレイ。聞かない方がいい事もある。ああ、そうだった。俺の名は、ベルモット・カーゴだ!さてと行くぞミスティ。」
「へぇ僕が方向音痴な事を知ってる者は数少ないんだけどなぁ。ん?ベルモット……モルモットの籠?って、何か笑えるんだけど。きゃははは……。」
アキリシアは腹を抱え笑い出した。
「そうそう俺はモルモットの籠、って、ちがぁ〜う!はぁ、まさかとは思うがアキリシア様。俺が誰で何者か分かっているのか?」
そう言うとアキリシアは下を向き笑みを浮かべながら、
「そうだね。ただ名前も違うし昔の事しか覚えてなかったから半信半疑だったけど。やっぱりそうだったんだ。まさか貴方までもこの事に関わっていたなんてね。」
「こりゃ、困った。アキリシア様が、まさかここまで勘が鋭いとは思ってなかった。……ミスティ。どうする?」
「やっぱり、ここでお寝んねしててもらうしかないんじゃないかなぁ。」
ミスティとベルモットはクレイマルスとアキリシアに攻撃を仕掛けようとしていた。
「何なんだ!この状況は……。」
「あらら、ちょっと不味かったかなぁ。」
アキリシアとクレイマルスは身構えた。
そして、ミスティとベルモットは襲いかかってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます