64話〜クレイマルスを知る者

 ここは名もなき城。そして、クレイマルスとアキリシアは、誰かが近づいて来ているのに気付き、足音がする方に視線を向け物陰から恐る恐る警戒しながら覗き見ると、


「そこにいるのは誰!?」


 クレイマルスとアキリシアは足音の主に気づかれ、その足音はゆっくりと近づいて来ていた。


「クレイマルス。どうする?逃げる?」


「アキリシア様。近づいて来る者が、敵か味方かわかりません。今は、下手に動かない方がいいかと。」


 そう言うとアキリシアは頷いた。


 アキリシアはクレイマルスの後ろに隠れ様子を見る事にした。


(いったい誰なんだ?足音の感じだと女のようだが?味方ならいいが……クロノア様か、ユリナ様か?だが、敵かもしれない。ここは、慎重にいかないとな。)


 クレイマルスがそう考えていると、


「あらあら。ふふふ、やーっと、みーつけた!てか、こんな所にいたのね。クレイ。」


 クレイマルスはその声の主をよく見た。


 そこには、銀色の長い髪を上の方に束ねスタイルの良い綺麗な女性が立っていた。


 クレイマルスはそう言われ首を傾げ不思議そうにその女性を見ながら、


「お前は誰なんだ?何故俺の名前を知っている?」


 そう言うとその女は不思議そうにクレイマルスの顔覗き込んだ。


「おい!クレイ。お前ふざけてるのか?」


「クレイマルス。この人知り合いなの?」


 そう言うとクレイマルスは首を横に振り、


「いいえ。会った事もありません。多分……。」


 そう言うとその女は少しイラつき出し、


「ちょっと待て!会った事がない、だと。こっちはな!あの方に頼まれて1年以上もお前を探してたんだぞ!?」


「そう言われてもなぁ。ん〜、俺は1年以上前の記憶が一切ない。どうしてお前は俺の事を知っているんだ?」


「記憶が無い、か。なるほどね。そう言われてみれば喋り方が違うな。」


「喋り方が違う?……まぁいい。っで、お前は何者なんだ?そして、何で俺の事を知っているんだ?」


「どうやら記憶が無いのは本当のようね……。じゃあ改めまして。私は、ミスティ・ミッシェル。そしてクレイ。お前はな……ん〜そうね。やっぱりここでは、止めておいた方がいいわね。お前の事を他の者に知られてはまずいしね。」


「それはどういう事?」


「どういう事なんだ?訳が分からん。俺はいったい何者だと言うんだ!?」


「さあねぇ。さて、クレイ。お前を、あの方の所に連れて行かないといけないのだけれど困ったわね。」


「おい!俺を何処に連れて行くって言うんだ?」


「それは流石に言えないわねぇ。それに、あの方の考えている事は分からないけど、私は命令通り仕事をするだけなのよねぇ。って事で、クレイ。お前が、どっちについているか分からないけど、計画の邪魔をされたくは無いのよ。なので、そこの女共々しばらくここでおねんねしてもらえるかな。」


 ミスティがそう言うと、クレイマルスは身構え、


「アキリシア様、下がっていて下さい。」


 そう言うとアキリシアは頷きクレイマルスの後方の物陰まで下がった。


「アキリシア様!?って……そうかなるほどね。城を抜け出しては放浪の旅に出てるとは聞いていたけど。まさかこんな所でグレイルーズのお姫様に会えるとは思ってもいなかったわ。」


「ミスティ!いったい貴女は何者?それに、あの方って誰?」


「さあねぇ。それは、貴女が知る必要はない事です。そう言う事で、大人しくしていてもらいましょうか。」


 そう言うとミスティは攻撃体制にはいった。それを見て、クレイマルスとアキリシアは身構えた。

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