59話〜1対1・ダブル
ここは名もなき城。クロノアはエマと激闘を繰り返しながら、被害を最小限に食い止める為、ユリナやディアナ達と分散し、敢えて1対1になるように別の部屋にエマを誘導していた。
「はぁはぁ。これだけ離れれば何とか大丈夫だと思うけど」
クロノアはそう言いながらエマの攻撃を避けていた。
「流石ね。はぁはぁ。なかなかやるじゃない。でもね、私は負けるつもりは1ミリもないし。早くあなたを倒して、ユリナ達と合流するんだから」
「ふふふ。ねぇお前、クロノアって言ったわよね。相当な負けず嫌いみたいだけど、引く時は引かないといつかは身を滅ぼすわよ」
「余計なお世話よ!敵のお前に言われたくない!!」
するとエマは不敵な笑みを浮かべながら、
《エッジ オブ ファイア !!》
呪文を唱えると、すかさずクロノア目掛け数枚の真紅の炎を纏った鉄のカードを投げつけた。
クロノアは慌てて数枚の炎のカードを俊敏に避けていたが、かわしきれずに数ヶ所攻撃を受けた。
そしてクロノアは少しよろけながら、
「はぁはぁはぁ。なかなかやるじゃない。でも、ふふふ。この攻撃はどうかな〜」
そう言うとクロノアは杖をエマに向け翳し、
《極大魔法 サンダーストーム アタック!!》
呪文を唱えた。すると辺りに黒い雲が立ち込め、雷鳴が轟き豪雨がエマを襲い、為す術なく落雷と激しい雨の猛攻撃を浴びた。
その魔法の衝撃で一瞬のうちに部屋が水浸しになり崩壊した。
するとエマはその魔法に圧倒され金縛りにあったかのように身動きが取れなくなってしまった。
「クッ、何なのよ。この魔法の威力は……」
そう言うとエマはバタンと床に倒れた。
「はぁ。何とか倒したけど……どうしよう?完全にこの部屋天井壊れて空見えてるし。でも、何でこんなに威力があるのかな?」
クロノアは不思議に思い考えていたが、それ以上考えても分からないので考えるのをやめた。
「早くユリナ達と合流しなくちゃいけないのに、なんで動かないのよ!」
しかし、クロノアの身体は言う事を聞かず、その場で動けなくなる程、消耗していた。
その頃ユリナも、別の部屋でシグマと戦っていた。
「おいおい。ちょこまかちょこまかと、逃げやがって!」
「もお〜おじさんが追いかけて来るからでしょう〜」
「お、おじさんって!おい、お前!?俺はなぁ、これでもまだ25だ〜!いい加減頭きた!」
シグマはそう言うと攻撃の体制に入ると、
《疾風烈拳 猛炎撃!!》
疾風が如く素早い無数の連撃の炎の拳が襲い、身軽なユリナでも、それらをギリギリの所で避け続けるのが精一杯だったが、最後の数発を左肩に受けてしまった。
「ちょ、ちょっと……こんな、はぁはぁ。可愛い子には、はぁはぁはぁ。もっと優しくしても、はぁはぁ。いいんじゃないかなぁ……」
「はぁ?何処に可愛い子がいるって。俺の目の前にいるのは、ただのうぜぇガキが1人いるだけに見えるが?」
「……って。はぁはぁ。よりにもよって、何で、はぁはぁ。あの力が使えないのよ。そうなると……今使える、はぁはぁはぁ。力を使うしかないか」
そう言うとユリナは自分のスキルアイコンを確認した。
ユリナは鞭を取り出し、
《鞭スキル 疾風乱撃‼︎》
と言うと鞭が目で追えないくらいのスピードで、無規則にしなりながら螺旋を描くと無数の真空波をおこし、シグマは素早い体術で避けていたが、その真空波がシグマの腕や足に数回あたり、最後の一撃がシグマの背中に直撃した。
「ちょっと待て!お前、本当にガキかよ!っう……クッ、立てねぇ。はぁはぁ。クソッ!何でこんなガキに俺が……」
「ねぇ、シグマさんだっけ?はぁはぁ。人を見た目だけで判断するのは良くないよ」
そう言うとユリナは疲れてその場に座り込み、シグマも動けずそのまま横になった。
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