44話〜テリオス王子と謎の秘薬

 クロノアとディアナとグロウディスとテリオスは、魔法で城の屋上から中に侵入していた。


 グロウディスが慎重に辺りを見渡しながら、


「なるほど。流石に警備の方は抜かりはないみたいだな。」


「ん〜、こうも警備がきついと、うかつには動けないよね。」


「クロノア様。確かに、そうですね。ですが、いつまでもここにいるわけにもいきませんし。」


 ディアナが考えていると、


「どうしたものか。迂闊に動けば作戦は失敗してしまうしな。」


「テリオス王子の言う通り、迂闊に動けば気づかれるのは間違いない。ん〜、何かこう誰にも気づかれずに、この先に進む方法があればいいんだけど。そうだなぁ〜。例えば、眠らせるとか。」


「なるほどな。クロノア、それは名案かもしれないな。眠らせて、その隙にここを突破する。そうすれば確かに気づかれずに、この場から移動は可能だが。さてこのメンバーで、誰がそれをやる?」


「グロウディスさん。私の魔法だと、補助系や回復系は無理だよ。」


 クロノアがそう言うと、


「ん〜。あたしは一応召喚魔導師だけど。眠らせたりする召喚魔法とかは得意じゃないし。」


 ディアナは申し訳なさそうな顔で言った。


「あっ!それなら……。」


 テリオスがそう言おうとしたが、ディアナがそれを遮り、


「ここには、出来そうなヤツがいそうにないね。」


「おい!ディアナ。誰か忘れてないか?」


「テリオス様。どうかしましたか?っていうか、それよりもどうにかしないと……。」


「あっ、えっとディアナ……。」


「クロノア様。どうしましたか?」


「ディ、ディアナ。テリオス王子の話聞いた方がいいんじゃ……。」


 ディアナが不思議そうな顔になり、テリオスの方を見たが、時既に遅くテリオスの拳がディアナの頭を直撃した。


「い、痛っ!テリオス様、なんで殴るんですか!?馬鹿になったらどうするんですか!」


 テリオスは溜息をつきながら、


「ディアナ。お前なら大丈夫だ。それ以上酷くはならないだろうからな。」


「だ、大丈夫って……いくらあたしでも。」


「お前なぁ。いい加減に人の話をちゃんと聞け!!」


「何の話をですか?」


「ディアナ、また殴られたいのか?まぁいい。さっき眠らせ気づかれないように侵入出来たらと言ったんだよな。それでな、いい秘薬があるのはあるのだが、効きすぎて自滅しかねない。この薬を使うのに何かいい方法があればいいんだがな。」


「いったい。その薬は何なんだ?」


「グロウディス。この薬は、嗅ぐだけで意識がなくなるとんでもない薬なんだが。実を言うと旅をしながら色々薬の研究を最近始めた。そして、作っている時に、誤って、こんなとんでもないものを作ってしまって、処分に困っていたところでな。あはははは……。」


「テリオス様。薬師にでもなるおつもりですか?」


「ねぇ、テリオス王子。それって、死ぬわけじゃないわよね?」


「それはないです。一度使ってみたので。と言うか、いや〜、誤って自分で嗅いでしまいしばらく意識を失ってたがな。」


 クロノアとディアナとグロウディスは呆れた顔になり溜息をついた。


 そしてテリオスは、バックの中から秘薬が入っている筒状の小瓶を取りだし見せた。


「それで、これをどう使う?」


「テリオス王子。どう使うって言われても、その前にその秘薬が何なのか分からないんじゃ。」


 クロノアがそう言うとテリオスは考えながら、


「うむ、確かにそうなんだがな。でも、この秘薬は自分でもなんなのか分からんのだ。」


「はぁ。テリオス様。貴方という人は、昔からなんでも挑戦するのはいいんですが、一応王子という自覚を持って下さい。それとその秘薬使うにしても危険すぎます。」


 ディアナがそう言うとグロウディスが少し考えたあと、


「策はない訳ではないが、その薬の対処法はある。その秘薬は、じかに嗅がなければ害はないんだったな?」


 そう言うとテリオスは頷き、


「ああ。グロウディスその通りだ。だが、どうすると言うんだ?」


 テリオスがそう言うとグロウディスはバックの中からガスマスクを4人分取り出し渡した。


「これは何かの役に立つかと思い、購入していた物だが。これでどうにかならんか?」


「ガスマスクか。なるほど、グロウディス。これならば何とかなるかもしれないな。」


 テリオスがそう言うと、クロノア達はグロウディスからガスマスクを受け取り身に付けた。


 そしてテリオスは小分けしてある筒状の小瓶を数個取りだしクロノア達に渡した。


「それで、これをどうするの?」


 クロノアがそう聞くと、


「ふむ、効き目も分からない。そうなると、誰かが試さないといけないな。ん〜、先ずは俺がこの秘薬を使い試してくる。」


「でも、グロウディス大丈夫なの?テリオス様が作った得体のしれない薬なんか使って。何も起きなければいいけど。」


「ディアナ!得体のしれない薬って……確かにそうだが。」


「ディアナにテリオス王子。だが、試してみない事には分からない。という事で時間もないし試してくる。」


 グロウディスはそう言うと、警戒しながら警備兵が1人になった所を狙い、その秘薬が入った小瓶を警備兵がいる辺りに投げつけた。


 すると小瓶は割れ、中からピンク色の煙が出てきてまともに警備兵はそれを吸い込んだ。


 警備兵はその場で動かなくなったと思った瞬間、スッと、膝をつきうなだれる様に倒れこんだ。


 それをみてグロウディスは確認のために警備兵に恐る恐る近づくと、警備兵は深い眠りについたらしく何をしても動かなかった。


 そしてグロウディスはそれを確認するとクロノア達を呼び、


「テリオス王子。これはとんでもない薬だ!これが間違って出来た物とは思えない。」


「グロウディス。やはりそう思うか!ただこれが、何なのか調べたく城に向かったのだが、あいにく中に入れなかったからな。」


「テリオス様。はぁ……まぁいいです。かえって城に居なかったから助かったのですから。」


「ディアナ。まぁそういう事だな。では、そうなると、この秘薬を使い先を急ぐとするか。」


 グロウディスがそう言うと、クロノア達は、各々警戒しながら秘薬の小瓶を近くで割っていきどんどん先を急いだ。

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