4話〜カジノでとんだ騒動

 クロノア達が洞窟の祭壇から旅立ってから数日が経ち、クラフト村近郊のとある森林にいた。


(引き受けたのはいいけど。何で野宿〜!!えっと、私って何なわけ?何でこう言う状況に落ちいってるわけ?はぁ〜……。)



 クロノア達が何故野宿しているのか、その訳は数日前にさかのぼる……。



 クロノア達はクラフト村に着いた。


『やっと着いた!』


 ハウベルトはそう言うと辺りを見渡した。


『ここまで来れば、魔物に襲われる心配はないな。まずは宿屋を探さないとね。』


 ディアナも辺りをキョロキョロと見渡し始めた。


『そういえば、このクラフト村はお酒がうまいんだったよなぁ確か?』


 ハウベルトがよだれを少したらし手でぬぐいながら言った。


『美味しいお酒かぁ〜。』


 クロノアはそう言うと目を輝かせた。


『クロノア様も酒が好きなのですか?』


『うん、あっちではよく1人で飲んでた。』


 クロノアはそう言った後俯いた。


(そういえば、ゲームやりながらよく飲んでたな〜……。)


『1人って?クロノア様は、恋人や友人などとは飲まれなかったのですか?』


 ハウベルトはそう言うとクロノアを覗きこんだ。


『……。』


 クロノアは俯いたまま、ピクッピクッっとこめかみの辺りを引きつらせていた。


『そっ、それはただ1人で飲むのが好きなだけだからね!!えっと、そうそう、とりあえず宿屋探さなきゃだよね〜……。』


 クロノアは誤魔化した。


((はぁ、いないなこれは!))


 心の中で言った。そして、その事について追求するのをやめた。


 しばらくしてから、泊まる宿をみつけ2部屋に分かれた。


『荷物はあらかた片付いたみたいだな。3人で市場とか見て廻ろうか?』


『そうだね。私も色々と揃えたい物とかもあるし。』


 2人はハウベルトを誘い市場に行った。


 市場を歩いていると奥の方に、何やら賑わっている楽しげな建物があったのでクロノアは気になり、


『あの建物って、何のお店?』


 そう聞くとハウベルトが嬉しそうに、


『あれは酒場ですよ!それに昼間でも賑わっているわけはですね。あの建物の中にカジノがあるからなのですよ!』


『クロノア様は、カジノに入られた事は無いのかな?ならば試しに入ってみない?』


 そう言い2人はクロノアをカジノへ連れて行った。


(えっと、ただ単に2人がカジノで遊びたいだけなのでは?)


 思いながら渋々ついていった。


 それから数時間が経ち、ディアナとハウベルトは何故かクロノアの事を忘れてカジノに夢中になっていた。


 クロノアは1人寂しく酒場で飲んでいた。


(はぁ〜、なんで市場に来たのにカジノに夢中になるわけ?てか私を忘れてるし!)


 クロノアは1人で飲んでいたが何故か虚しくなって、


(しょうがない!暇だし私もカジノに行くか〜!!)


 クロノアはカジノに入って行った。


(とりあえずは、そうだなぁ、ポーカーでもやるか〜。)


 ポーカーのテーブルに座ろうとすると、クロノアの後ろの方で声がした。


『ちょっとどうするんだ?ハウベルト。もう金が底をついたんだけど!』


 するとハウベルトは怒り顔で、


『ディアナがみんな黒にかけたからだろう!!』


 すると、2人は言いあいを始めた。


 クロノアはそれを見て呆れた顔で。


『もしかして、2人とも所持金全部無くなったなんて言わないわよね?てか、何故そこまでやるかなぁ〜。』


 クロノアは頭を抱えた。


『んー、いくらなんでも、ずっと黒に賭け続けてるのに、1度も勝てないのは絶対におかしい。くそ〜、もう少しお金があれば〜。』


 ディアナは興奮気味になった。


『俺が言った通りやってれば絶対勝てた!!』


 ハウベルトも興奮気味になった。


『えっとね〜。あくまでもこれは運だから、流石に深追いはまずいよね〜。んー、だけどディアナの言う通り、何か変だね?私も気になると言えば気になる。』


『ん?確かに言われてみればそうだな。』


(これはもしかしたら……。)


『私がやってみようか?ちょっと気になることがあるから。』


『クロノア様が?』


『うん。もしかしたら、ちょっとあれをやって見ようと思う。出来るか分からないけどね〜。』


 クロノアはルーレットのテーブルに座り、赤にとりあえず半分の10枚を賭けた。


 ディーラーの男は、


  『さて赤でいいかな?』


 クロノアはうんと頷いた。


 ディーラーがルーレットを回し、その結果は黒だった。


 クロノアはずっとディーラーの男を観察していた。


 クロノアは何か分かったような顔で軽く笑みを浮かべた。


(なるほどね〜そういう事か……。)


『何かわかったのか?』


『うん。まぁ、とりあえず見てて。』


 クロノアは左手をテーブルの下に右手をテーブルの上に置いた。


『次は、そうだなぁまた赤でお願い。』


 クロノアは残りの10枚を賭けた。


 ディーラーの男はルーレットを回したその瞬間、クロノアは、テーブルの下の左手をそのままの体制で翳し心の中で、


(《フリーズ!!》)


 と唱えた。


 ルーレットが止まる瞬間、黒に入りそうになったのを見て、


(《ブリーズ!!》)


 と唱えた。


 思惑通り赤に玉が転げ落ちた。


 ディーラーの男はそれを見て怒り出した。


『今お前何をした!!』


 クロノアはとぼけた口調で、


『私は何もした覚えはないけど?』


『そんなはずはない!何かしなければ……。』


『もし、私が何かしたとしてだけど。イカサマらしき装置が下にあったから、それを凍らせただけなんだけど。」


『イ、イカサマって……証拠があるなら言ってみろ!?』


 ディーラーの男は左手で見えないようにテーブルの下の装置らしき物を外し隠そうと手を伸ばした瞬間、


 《ウインドウチェーン!!》


 と、クロノアは呪文を唱えた。


 ディーラーの男は風の鎖で縛られて動けなくなった。


『何のつもりだ!』


 クロノアは、その場からディーラーの男の方に歩みより、テーブルの下にある物を外して見せた。


『これは何なのかな?私、分かんないんだけど、教えてくれないかな?』


 ディーラーの男の目の前にその装置を置いた。


『……。』


 ディーラーの男は無言のまま、その装置から目を逸らした。


『そうなんだぁ。あくまでもイカサマを否定するのね!これって手の込んだ魔法道具じゃないのかな?手を翳しただけで動く的なやつなのでは?』


 ディーラーの男の顔色が変わり、周りの従業員もグルだったらしく、


『ふんっ!そこまで分かっていて聞くとはな。なら悪いが、この事をその辺で言われても困るのでな。お前とそこの2人の仲間も一緒におねんねしてもらうとするか!』


 ディーラーの男と従業員数人が、クロノア達に攻撃を仕掛けてきた。


 ディアナとハウベルトは何で自分達が巻き添えになっているんだと思ったが、仕方なく攻撃を始めた。


 クロノアはすかさず、


 《トゥーフリーズ!!!》


 呪文を唱え青い光が放たれると、ディアナとハウベルト以外の者達を一瞬で凍結させた。


 クロノア達は長居は不味いと思い、その場から動こうとしたその時、急に辺りが光だし目の前に黒いローブをまとった女が立っていた。それを見てクロノア達は身構えた。


『ほう。こっちはかなり判断力があるらしい。それならそっちの2人には少しお休みしていてもらうとするか。それに後ろの連中も面倒なので寝ててもらったのが良さそうだな。』


 黒いローブの女は、


 《スリープズ!!》


 呪文を唱えるとクロノア以外の人達が眠りにつき始めた。


(クッ、このままではクロノア様の身に、何と言う事だ!あたしが不甲斐ないせいで……。)


(クソッ!俺はこの状況で何も出来ないと言うのか?このままだとクロノア様が。クッ、申し訳ない……。)


 2人はその場で倒れ眠りについてしまった。


『ディアナ!!ハウベルト!!これは、どういうつもりなの?それに貴方は何者なの?』


『貴様には関係ないって言いたいところだが、名前ぐらいは名乗っておこう。私の名はアリスティア。そして、お前の実力がどんなものか知りたくてここに来てみたのだが、面白い事になっていたので少し見せてもらった。そしてお前がどれほどのものか、今から見せてもらう、あのお方の為にな!!』


 アリスティアはクロノアに魔法攻撃を仕掛けようとしていた。


『あ〜、今日は何なのよ〜。もう仕方ないな〜。それなら私も。』


 《ボルティクス オブ フレイ!!》


 とクロノアは呪文を唱えた。


 すると炎の渦がアリスティアに当たったが、それほど効果がなかったらしくアリスティアは、


『ふっ……この程度の攻撃とはな。それならこれは避けきれるかな。』


 《フレームス オブ ダークネス!!》


 と、アリスティアは呪文を唱えた。


 クロノア目掛けて闇の炎が直撃し地面に倒れこんだ。


(クッ、このままではやられる。ん?ちょっと待って闇の炎って事は……もし属性耐性が存在するなら、あの攻撃が有効かも。とりあえず試す価値はあるかもね。)


 やられたにもかかわらず、笑みを浮かべるクロノアに対しアリスティアは、


『ほぅ、この状態で笑みを浮かべるとはな。それほどにこの状況が楽しいとみえる。ならば次はその笑みが浮かばないくらいに痛めつけてやろう!!!』


 そう言い身構えた!


『ふっ、その前にかたをつけさせてもらう!』


 《ホーリーライト アロー!!》


 クロノアは呪文を唱えるとアリスティア目掛け無数の聖なる光の矢が直撃した。


『クッ、こ、これは属性攻撃か。私をここまで追い詰めるとは……お前の名を聞いておこうか?』


 アリスティアは急に態度を変えてきて、クロノアは少し調子を崩された感はあったが、


『私はクロノア。一応は魔導師だよ!ではそう言う事で!』


 そう言い身構え直したが、


『ふっ、なら今日のところはここまでにしておこう。だがまだまだ実力的には劣っているとみえる。では退散するとしようか。』


『この状況で逃げるって、どういうつもりなの!!!』


『そう慌てるな。恐らくは近い将来、嫌でもまた会う事になるのだからな。』


 そう言われクロノアは、


『また、会うってどう言う事なの?』


『まぁ、時期が来ればわかる事。そう慌ててここで死ぬ事はないと言う事だ!』


 アリスティアは退却しようとしたが、クロノアはそれを止めようと呪文を唱え始めた。


 アリスティアはそれを見て、


『馬鹿が!!この状況で不利と思わないとはな。ふっ、仕方がない。このまま退却するつもりだったが、お前がその気なら。』


 《闇極大魔法 ダークストーン ダスト‼︎》


 アリスティアは呪文を唱えると、辺りに闇の石飛礫が現れその直後アリスティアは、


『悪いな!そうそう構ってもいられんのでな!また会う時を楽しみに待っているぞ!』


 そう言いアリスティアは消えた。


 クロノアはその場の状況が分からないまま、


『ちょ、ちょっと待てーーーーー!!!!!』


 そう言った瞬間、アリスティアの魔法により、酒場兼カジノの建物は崩壊した。


 ディアナとハウベルトは、そのショックで目が覚めた。


 それからクロノア達は辺りを見渡し今の状況に気がつき、お金以外の持ち物を全て抱え、その場を逃げる様に出て行った。



 そして現在。


(はぁ〜。でもあいつは、何者だったんだろう?確かアリスティアって言ってたけど。それに闇の魔法を使ってたなぁ。あの魔法は全く知らない魔法だった……。)


 クロノアが考え込んでいるとハウベルトが、


「そう言えば、この前のあいつは、いったい何者だったんだろうな?」


「何者かは分からないが、そろそろここから旅立ち、一刻も早く長に会ってちゃんと話しを聞かねばな。」


 ディアナはそう言いながら、夕食を手際よく作っていた。


「そう言えば聞いてなかったんだけど?この国の名前とか何もわからないんだけど。」


「そういえば、言っていませんでしたね!この世界はシェルズワールドといい、国の名はブラックレギオン。そしてこれから向かう場所が、バブルスロック城。そこに我らが長がいます。そしていい加減に行かねば長が怒る頃かなぁ。」


 慌てたそぶりもなくあっさりと言った。


「確かに長が怒ると大変な事になりかねないからな〜。」


 やはりあっさりと言った。


(怒るといいつつ、何故あっさりしてるんだ?まぁ、とりあえず今日は、ご飯を食べて野宿は嫌だけどしょうがないし寝るか……。)


 考えながら明日の準備をしご飯を食べてからしばらくして眠りについた。



 その頃、クラフト村近郊のとある洞窟内にアリスティアはいた。


(クロノアか……私にここまでの傷を負わせるとはな。それにしても異世界人とは皆あんな感じなのか?白き英雄のハクリュウが剣王ならば、黒き覇王のクロノアは魔導王と言ったところか、いずれにせよとりあえずはあのお方に報告せねばならない。明日は我が国に戻りこの事をお伝えしなくては。)


 そして、アリスティアは眠りについたのだった…。

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