第2話 新たなる恐怖の朝
…夜が明け、東京奥多摩御嶽山に朝が訪れました。
僕と野間君は起床した後、民宿山荘の周りの森を散策して朝の爽やかな山の空気に触れ、それとなく気持ちも清く健やかになって宿に戻ると、間もなく朝ごはんの時間となりました。
…一階の食堂にクラスみんなが揃ってテーブルに着くと、すでに料理が並んでいました。
「頂きま~す!」
声を揃えてみんな一斉に箸を持ちましたが、何しろ高校一年生は食べ盛り。…僕の座ったテーブルには野間君と、クラスメイトのA君とB君が相席となり、みんなそれぞれガツガツと食べ始めました。
…しかしそんな中、ふと気が付くとA君の持った箸だけが動いていないのです。
さらに彼の表情もどよんと曇っていて、明らかに寝不足顔のようでした。
…気になった僕は彼に声をかけました。
するとその結果、思いもよらぬことが彼の身に起きていたことが判明したのです!
…その時の会話をここに再現してみましょう。
僕「どうしたのA君?…食欲無いようだけど」
A「…実は俺、夜中にめちゃくちゃ怖い体験をしたんだ!…」
僕、野、B「えっ !? 」
A「…夜中に目が覚めて、トイレに行ったんだ…それで、下を見たら便器の奥底に…何か得体の知れないものが光っていたんだ!」
僕、野「 !!! 」
B「フッ!…そんな馬鹿な…?お前、夜中で怖い思いしてトイレに入ったから何かの錯覚にびびったんだろ?ちゃんと見たのかよ?」
A「冗談じゃない!あんなの見たらもう怖くて下なんか向けないよ!…だけど確かに見たんだ!…あれはきっと、何か恐ろしいやつの眼光に違いない…」
僕はそう言って怯えるA君が気の毒になり、当たり障りのないフォローを入れました。
僕「…う~ん、やっぱりこんな人里離れた山中だからね…何かこう、科学や理屈で説明出来ない怪しいものが存在するのかも知れないね… ! 」
A「うん… ! 」
僕「そうだよきっと!…ねっ、野間君!」
僕はちょっと面白くなって野間君に話を振ってみました。
野「いや、話は聞いたけど僕はそんなモノノケやお化けとかって、実際には居ないと思うな」
顔色を変えることもなくシレッと彼は言いました。
…僕は必死に可笑しさをこらえていましたが、次のA君の叫びにはもはや爆笑せずにはいられぬ結果となったのです。
A「野間っ !! お前は実際に見てないからそんなことが言えるんだっ!…アレを見たらお前だって!…うううっ…」
…そんなこともあんなことも、今となっては学生時代の良い思い出です。
追記
僕にとっては良い思い出ですが、A君にとってはたぶん今でも恐怖のトラウマですね。
お化けやモノノケは実際には居ないかも知れませんが、現実には人の心の中には悪魔が潜んでいるのです…。ヒッヒッヒ…!
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