第122話

でかカボチャを前に思案する、次なる短編の健康食品を、カレーパンにかみつき、二つの体験談を動機にする、テーマは手紙文形式だけだった、もう一つは対比だった、複雑に考えることなく、アドリブの進むまま埋めていく、なにせ日常に近い、ただならぬ業界だから。


おそらく秋の休みは今日で打ち止めになる、神社の祭りに神楽が舞った翌日は、晩秋の桜なるキンモクセイが濃く香り、すこしずつ香水も明瞭になるこの季節、朝は機嫌が悪かったが、夕刻はのどやか。


湿気に立ちこめる朝はキンモクセイに覆われている、自然も人工も混じり、たやすい秋の香りはカンキツのように親しみを持たせる、バラのようにきつくない、花弁を知って信じられない慎ましさを思い出す、アレゴリーなら、小粒な方が香りの威力は強いのだろうか。


いつまでここに淹留するか、跳梁にもならない芸能巡りを続けて、あれほど羇旅に焦がれて喚いていたのが、孤愁はもはや遠く徳業をこなしていると思い込み、塵事をくさして超然ぶるのは痛苦にならないのか、毎日を怡然している、明澄が眩しい。


いまだにマスクの幻影が背中を見せる、素晴らしい価値観の相違だ、トイレでふと考えた、恥さらしと恥かくしの意味を、固執と妄念は社会を守る、業務内はこの区域を出てはいけない、どうりの規則性だ、正しいのはどちらでもなく、どこに基準点を置くか、世界の実相をそのまま見たい。


常に人生は破調に進む、ソフトとハードな入れ違いに四苦八苦したつもりか、省慮を忘れずに過ごすようでも気づけない、高尚を感得したつらがまえで、至妙をとり違えている、達識などと思わないものの、博捜しない態度はうぬぼれ続けている。


慌てる朝を一緒にもみ込まれる、水曜日の堆積だ、はみ出た一個に飛びかかってくる、目はつぶった方がいい、時たま思う社会の仕組みは、青のポップな歌が説明してくる、みんな必死に生きている、そんな詩はまっすぐに、許容をおのずと与えてくれる。


社会の為に鼓吹してみたい、すぐ珍妙に嘘をつく、何のわけもなく漫罵されたい、考えが紛淆している、的確に端厳に居住まいを求む、どこで看取して基準を斉一しているのか、我が身に腎虚をふりかえる、ラジオも言っている、漸進して破滅に向かっている。


こそこそするのは心身に良くない、特に内臓があまり強くない場合は、何事も堂堂と行える方が気分は楽だ、とはいえストレスを感じながらこなす作業も必要になる、ものともしない胆力がなければ何事も成し得ない、つまらない弁解だ。


常にクリアな頭脳で誰もがいるわけではない、むしろマッドにへばりついている、いらない事をする朝の時間に、小言が口から出そうになる、けれどすこしは分別を持てたか、黙り、見過ごす、自身にとって一致しない言葉であっても、本人の動きに合っている、考えていないのだ。


いつまでもさまよっているようだ、公園を通りすがって山から叫ばれる、こだまが明日の朝まで残りそうな響きは、バーベキューの煙と立ち昇る、五十平方メートルの舞台創作だ、弁当の代わりが喜んでいる、昼前の沈み込みにこの一幕は、空元気に愉快する。


何事も進めるのが遅い気がする、出てくる一文字ごとに駄作が積み重なる、とても広げることはできない、着想だけが滞り、プロット抜きにコメントから置かれてゆく、これで良いという妥協文句は変わらず、これこそ自分らしい個性だと、嘘を信じ続けることしかできない。


進む時は順風で回る、昨日の失敗も取り返し、十時半がキーポイントかもしれない、平日を重ねても筆力はそれほど落ちず、より軽い手で言葉を選び出せる、駄作に追記して些かマシになったか、登場人物も加わり、展開と解決にも選択肢が浮かんできた、始動の重みを過ぎれば、後は面白さが従ってくる。


最近は家で緊張を与えてばかりいる、一人騒動する獣のように、気分が浮き沈みしてストレスをまき散らす、機械のせいは自分のせいだ、誤作動を考慮して安全策を保存しておかなければ、繰り返した失敗の分だけガードは固くなる、まずはコピーだ。


食事と風呂のあとに一仕事をするのは、もちろん困難だ、あとは眠りが今日の締めだと体はうずいている、そんな反応に従うことをせず、むしろ鞭をあてるのが頭の役割だ、けれど影響は強くのぼってくるので、気を抜いた途端に転がりたくなる、しかしそもそも、気力はどこにあるのか。


今月に入って数冊を読み終わる、冬を前に衣替えするのとは絶対に違う、たまたま尽きる字の束は、季節の移り変わりとは異なる、けれど同じように感じる、読書や芸術に秋はない、あるのは常に憂いと喜びであって、一時点に得られる安き心ではない。


他人よりも寒がりだと苦労するか、被害意識が向上するかも、脂肪を蓄えるのはもはや叶わない、なとど思えばその状態を維持できないのが人間だと小説は言う、いつ頑迷固陋な偏屈人間になるか、縁石に躓いただけでも、変わってしまうのに。


ムカデとクモの戦いを眠り際に教えてもらう、生き残る為の争いだ、店の為に結果を前に潰す、認知できないおじいさんにどうやって入店拒否をわからせるか、店じまいか、覗く子供は挨拶を求めて朝に現れる、ふとよぎる計略に、存在を消す死が露わに浮かぶ。


紅葉を見ることなく冬の中心にいるようだ、曇り空は見た目よりも気分を沈鬱にさせる、最近観た映画のせいかもしれない、分厚い上着を身に荒涼とした島を歩く、犠牲の作品は血迷い事なのか、窓も閉められて室内に温度は籠もりそうでも、何かしら抜けていく。


影響されやすいとはいえ、長続きしない長広舌を切り落とした沈黙を良く思えば、こちらも黙って従う、それはいつまでだろうか、疲労の溜まった後で人は、分別をなくしやすい、細かさに気配りをできない未熟な者が上にいると、目も口もつむることになる。

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