20.殲滅

その1

 あの後、すぐに出発したルコ達はその日の夕刻に都市折卦おれけから直線で西100kmの位置にある都市位友いゆうに辿り着く事ができた。すぐに出発した事が功を奏したのか分からないが、とりあえず猪人間の追撃や遭遇はなかった。

 都市位友いゆうは事前の情報通り都市機能が完全にダウンしており、食料品等の補給は望めないものの、川が近くを流れていたので水に関しては問題がなかった。

 季節はようやく春めいてきたが、朝はまだまだ寒く遙華はともかく、恵那は相変わらず外には出たがらなかった。

 次の日、朝食を済ませると、ルコ達はすぐに直線で西北西33kmにある都市別斗べつとに向けて出発し、昼前には約半年ぶりに都市別斗べつとに入る事ができた。

「ルコ、そのぉ、玲奈れいなとかいうやつから呼び掛けがあったそうじゃが、どうするのじゃ?」

 ちゃぶ台を囲んで昼食中に、遙華がルコに聞いてきた。

「一応返事は出しておいたわよ。別斗べつとにいる事と、幌豊ほろとよの研究所に行きたい事を書いておいたわよ」

 ルコはそう言うとSNSのページを壁に表示させた。

「どう人なの?」

 恵那がそう聞いてきた。

幌豊ほろとよの責任者らしけど、人柄までは知らないわよ。ここに書いてあるとおり、連絡がほしいとしか書いていないしね」

 ルコがそう答えると同時にSNSに返事が帰ってきた。

幌豊ほろとよの東の猪人間村に攻撃予定。至急協議を求む』

と返事が書かれていた。

 それを見た4人は驚きのあまり固まってしまった。

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