第2話 ロクでもない冒険者生活

俺は眩しい光に顔を照らされ起きた。

「眩しい、もう朝か……。」

「あのー、大丈夫です?あなた風邪引きますよ?それにまだ夜ですが。」

俺は何故か警察官に囲まれて光のスキルで照らされていた。

「あのー、あなた警察署で保護させていただきますね。だいぶ酔ってらっしゃるし宿がないんですよね?駆け出し冒険者はそんな人多いですし。」

そう言われ俺は異世界へ転生してすぐに警察のお世話になった。


そして朝になり目が覚めると警察官がやって来た。

「大丈夫ですか?大丈夫ならもう出てもらって構わないですけど。」

「はい出ます。」

それによくよく考えると絶対アイリス達に怒られる。

また柱に拘束されたらたまったもんじゃない。

そしてギルドに走っていくと、予想通りアイリス達があいつはどこに行ったとばかりに探していた。

「すまんすまん、ちょっと警察に保護されてた。」

「すまんすまんじゃないよ!遅すぎでしょ!てかなんで保護されてんのよ。」

「パーティーを捨てて逃げたのかと思ったじゃないか!」

「また拘束するよ?」

「みなさんごめんなさい。」

俺はプライドも何もかもを捨てて土下座していた。

「プライドってもんがホントないねキミ!」

完全にみんなには呆れられてしまった。

「まぁ気を取り直してクエストでも行こう!」

「ルーナ、ナイス案!」

そう言ってみんなで掲示板を見に行くことにした。

はっきり言って俺は何もわからなかった。

「アイリス〜、このキリグロスってなんだ?」

「キリグロスは超初級モンスターよ!まぁキミ昨日登録したばっかでヘナチョコだからそのクエストでいいかもね!」

「え、大志、昨日ギルド登録したのか?」

「ほんとですか?」

「なんだよ!」

2人は蔑む眼差しを俺に送っていた。

「まぁヘナチョコのために今日はこのクエスト受けましょう。」

「そうだな。」

「分かりましたよ。」



「何これキモ!!」

そこにはなんとも言えない、キリギリスのような謎の巨大生物キリグロスが沢山いた。

正直帰りたい。

すると後ろからキリグロスが飛んできた。

「うわぁぁぁ!助けてーー!!」

俺は今まで感じたことの無い恐ろしさに襲われていた。

「大志、お前男だろ!」

そう言ってルーナが剣を降ると簡単に倒されたキリグロスが転がっていた。

(よくよく考えてみれば名前自体にグロスとか入ってんじゃん。)

俺はそう思ったが、

(ここは異世界だ!言葉も違うし関係ない。)そう自分に言い聞かせた。


その後どうにかみんなに手助けしてもらいながら1匹倒すことが出来た。

「なぁ俺3もレベル上がったんだけど。」

「それは最初のうちだけだ、10超えたら上がらなくなってくるよ。」

「へぇーそうなんだ。」

そうなことを言いつつギルドの受付にクエストの達成を知らせると少しばかりお金が貰えた。

「なぁアイリス、あんなに頑張ってこれだけなのか?」

「そうだよ。あんなの雑魚中の雑魚ってやつだから。攻撃してこなかったでしょ?」

「確かに攻撃してこなかった。てか攻撃してこないならギルドに依頼出すなよ!」

「まぁ私たちの仕事が増えるからいい事だけどね。明日はもう少し強いモンスターにしようね。」

「おう。」


そしてその夜、また俺達はギルド併設の食堂で夕ご飯を食べていた。

「なぁ、ここって安いわりに美味しいよな。」

「そりゃーそうですよ!今大志が食べているお肉はキリグロスのお肉ですし。冒険者が倒したモンスターのお肉を使ったりしてるんですから。」

「オウェ〜!」

俺は思わずもどしかけてしまった。

「もう食べてるからあまり気にすることじゃない。」

「うるせぇよ、最初っから言っとけよ!」

「いや、それくらい知ってるんだろうなと。」

「アイリス!お前なら言ってくれても良かったんじゃねか?」

「私も流石にキミでもそれくらいは知ってるかと……。」

「モジモジしてんじゃねぇよ。」

「まぁこれからも食べるし別に気にするな!」

「そうだそうだ。」

「マジか、ここ以外食堂みたいなのないのか?」

「安い所はみんなこんな感じだよ!」

「………………。」

「大丈夫だって慣れるから!」

「そうか。」

俺は何とかしてお金を稼いでやろうと思った。

てか、いっそう冒険者をやめてもっと稼げそうな職に就いてやろうかと少しでも思ってしまった自分がいた。

まぁ、せっかくこの世界に転生したわけだし冒険者人生を楽しもうといい聞かせていた。

「てかさあアイリス!俺泊まる場所無いんだけどどうすりゃいいの?」

「それは野宿ね。」

「昨日ギルドの前で野宿したら警察に保護されたんだよ!」

「何言ってんの?ちゃんと駆け出し冒険者用に野宿する場所があるからそこに行かないと!」

「は?そんなの初めて知ったぞ。もっと早く行ってくれよ。昨日夜中に起こされて大変だったんだぞ!」

「そんなの知ったこっちゃないよ!」

「まぁ、私達が大志が頭がおかしいのに教えてなかったのが悪かった。」

「そうだね。」

「まぁルーナの言う通りかもね。」

「オラ!3人揃って納得するな!」

「ちょっと大志うるさいぞ。」

「うるさくさせてるのお前達だろ!」

「アリス、こいつあそこの柱に拘束でもしておいてやれ!」

「分かったわ!」

「おい、頼むいや、この通りです、やめてくださいお願いします。」

食堂に居た者のほとんどが俺に視線を向けていた。

(恥ずー、張り付けもなかなか恥ずかしいけど男が女に情けを求めて土下座している絵面もなかなかじゃん!)

そんなことを考えながらも土下座をして視線が恥ずかしくて頭を挙げれずにいた俺の肩が叩かれた。

「ねえちょっとキミ、めっちゃ見られてるしもう許してあげるからから顔上げてくれない?」

「そうですよ!」

「そおだそおだ!」

そんなことを俺達しか聞こえないの小さな声でアイリス達が言い始めた。

「ありがとうございます。」

俺は顔を上げた。

正直もうこの街歩けないかもしれないなんてことも思ったが。

その食堂にいた冒険者立ちが励ましてくれた。

「あんちゃん、おもしれぇーじゃねえーか!」

「女は怖いから気おつけろよ!」

「みなさん、ありがとうございます。グスッ」

なんかこの俺の状況に泣けてきた。



次の日、昨日の夜はしっかりと野宿用の場所で夜をふかした俺は今日は冒険ではなく街の散策をすることにした。

ロクに転生後散策もしたことが無かった。

そしてアイリス達とギルドで合流した。

「なぁみんな、今日は街の散策をしたい。」

「「は?」」

「そんな反応されると悲しくなるからやめて……。」

「てかキミ、この街くらい暇な時に1人で散策しなよ。」

流石にここまで見放されると悲しい。

それに自分一人で散策したところで何がなんの店だか見当もつかないのでほぼ意味が無いのだ。

「お願いします。」

スーパージャンピング土下座を披露した俺だった。

「都、アルザールの散策なら全然良いんだけど。」

「アイリス、そこってどんなとこだ?」

「この国、ジャマノンの首都だよ!」

「待て待て、アルザールまで片道どれだけかかると思う?それに大志、首都も知らなかったのか?」

「いいじゃないのルーナ!ルーナのお家お金持ちじゃない!」

「だからこの街のことも知らないのに首都なんて論外だろ!」

「ちなみに私も知らなかったよ。」

「仕方ないか、よしじゃあ明後日から首都アルザールに行こう。」

「え?マジ?ルーナ様流石だ。」

「様付けすな!」

そうして俺達は首都アルザールに行くことになった。





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