第16話 協力者襲来 (アイネ視点)
製薬会社に就職して早3年、研究員として日夜新薬開発に勤(いそ)しむ傍(かたわ)ら、古武術大会やライバルの香澄ちゃんとの異種格闘技戦で休日を過ごし、あっという間に時間が流れていった。
そんなある日、社員食堂でお昼のニュースを聞いていると、とんでもない事件を伝えるアナウンサーの声が聞こえてきた。
「本日午前○時、神奈川県の県立高校で授業中の生徒と先生が突然消えるという事件が発生しました。
行方不明になったいるのは、教員の霧野香澄さん25歳と2年○組の生徒の皆さん39名の合計40名です。
グランドでの授業中に、まばゆい光が教室の窓から漏れたのを見た体育の教員が確認に行ったところ、教室から人間だけがきれいにいなくなっていました。
この件で高校は今も閉鎖され、警察による現場検証が遅くまで続けられています」
なんと、香澄ちゃんが行方不明だ。
私は早速、スマホで連絡を取ろうとするが、電話は呼び出し音こそ鳴るが、全く出てくれない。
ラインやSNS、メール、全て応答無し。
仕事が終わると同時に、目立たない場所から自室にテレポートし、クレヤボヤンスで香澄ちゃんが立ち寄りそうな所を片っ端から探すが見つからない。
時刻は夜10時、どこを探しても香澄ちゃんはいない。
「いったいどうしたのよ……」
私がため息をついたとき、スマホの着信音がなる。
この音はメールの受信だ。
それは、香澄ちゃんのパソコンからの着信だった。
件名 緊急事態!
本文 藍音ちゃん、すぐに来て。 自室にて待つ! by香澄
慌てて打った文面だろうが、本当に何か重大なことが起こったのだろう。
私はクレヤボヤンスで香澄ちゃんの部屋を確認すると、先ほど確認したときにはいなかった香澄ちゃんが、何故か全裸でノートパソコンの前に座っていた。
「風呂上がり?」
疑問に感じつつも、他の人がいなさそうなので、すぐにテレポートで向かう。
「何事なのよ、カスミちゃん」
私が出現すると同時に香澄ちゃんは泣きついてきた。
「ふうぇーーん。藍音ちゃーん。どうしよう!」
抱きついてくる力が以上に強い。
「そうね、まずは服を着て落ち着こうか」
私が声をかけると、自分が全裸だったことを思い出した香澄ちゃんは急いで服を着始めた。
それにしてもこの子は、輪廻の先の転生後と現在の容姿がとても似ている。
私はというと、髪の色は黒にもどっているし、転生後ほど目つきはきつくないと思う。
まあ、輪郭とか似ている部分も多いのだが。
そんなことを考えていると、香澄ちゃんは服を着終わり、行方不明事件の顛末を語りはじめた。
【次話は来週土曜日夕方、更新予定です。しばらくお待ちください。】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます